クロックワーク・プラネット 1 / 榎宮祐・暇奈椿

 

クロックワーク・プラネット1 (講談社ラノベ文庫)
 

アニメが始まったということで積読の山から引き出して来たのですけど、おっもしろいなこれ!

榎宮祐はグリパケ、ノゲノラと面白いけれど合わなくて途中で脱落してしまっていたので避けていたところはあったのですが、合うとか合わないとか些細なこと言わずに読まんかいと引っ叩かれるような一冊でした。

まず、寿命を迎え滅びに向かっていた地球を、何者かが全てを歯車に置き換えることで救ったという大ハッタリから入る導入からワクワクするのですが、その歯車の世界で展開される2人の天才の物語がとても面白かったです。

大人の理屈だとか、必要な犠牲だとか、権力争いだとか、そういう社会のしがらみを突き抜けるのは子供の理想と天才性。そして、手にしたリューズという破格の力を持つ自動人形。それが本当に正しいことかなんてものは関係なく、それが正しいと思うから行動し、そして彼らにはその力があった。例えばノゲノラなんかも同じような話ですが、あれはそういう存在こそが正しい世界が舞台にあった訳で、それをある程度普通の社会でやったら、そりゃあ辿り着くところは理想を叫ぶテロリストよねというところまで徹底していて、ここまでくるともう痛快です。

そしてこの物語、あとがきでも言及されている通り二人のタイプの違う天才が出てくるのが面白いです。傲岸不遜で口の悪い凄腕時計技師の少女マリーは1%のひらめきと99%の努力を地で行くような天才タイプで、他はさっぱりでも超能力めいた聴覚を持つナオトは天才というよりはもはや異能というタイプ。そしてこの2人が反目しつつもがっちり噛み合って、一人では為せないことを為すというのが王道ながらに最高でした。ちなみにマリーが私の好きなタイプのキャラにぴったりハマりすぎて困る。

そんな感じに面白かったのでこれは続きも読まねばと思います。