ディメンションW 12 / 岩原裕二

 

 一気に話のスケールが大きくなって最終章という感じがしてきた12巻。丸々残っていた形のミラの二重コイルと百合崎博士の関する謎が、シンジケートとニューテスラ、そして次元Wにこう繋がってくるのかと。まあ、よくよく考えれば無尽蔵の資源なんてそんな都合の良いものは無いよなあと。

そしてミラがどんどん人間らしくなっているのもあり、キョーマがミラをロボット扱いしないのがとても良いです。人間として扱っているのかは分からないものの、あのコイル嫌いがミラを自分自身の自由意志を持つ存在として扱っているのは感慨深いです。そしてちゃんとエリーを拾っているキョーマはやっぱりなんだかんだ面倒見がいいなあと。

全般ちょっと説明多めの巻でしたがそれを感じさせない上手さあり、そしてこの先への下地はバッチリという感じで、ここからの展開が非常に楽しみです。前の巻でのシンジケートとの力の差を見ると、あまり明るい未来が見えないのは心配ですが……。