娘の家出 6 / 志村貴子

 

娘の家出 6 (ヤングジャンプコミックス)

娘の家出 6 (ヤングジャンプコミックス)

 

 最終巻、だからと言って何かが大きく動いたりするわけでは無く、大きなドラマ(本人たちには一大事でしたが)という感じでもなく、すっと終わった感じではありますが、読み終えてちょっと気分が晴れるようなそんな作品でした。

いやしかし、こういう少年少女の、恋愛だったり友達だったり家庭の事情だったりいじめと不登校だったり、そういうものを描かせたら志村貴子は抜群だと改めて思います。オムニバス形式でキャラクターも多くて、そんなに個々人が印象に残らない。というか正直私は読んでいてあんまり記憶できていなくて、しかも一編一編は説明も台詞も少ないはずなのに、絵なのか言葉なのか間なのか、奥行きがあるというか、そのキャラクターたちが生きていて、そのほんのワンシーンを切り取って描けているという感じがあります。そしてその積み重ねで作品全体としては、この世代の空気を綺麗に掬い取ったみたいになっていて、本当に匠の技だなあと思いました。とても良かったです。