映画大好きポンポさん / 杉谷庄吾【人間プラモ】

 

 pixivで話題になっていた時に読んでこれは凄い、とにかく凄いと思って、本になるならぜひ紙で手元にと思って買ってまた読んで凄い! と思ったのですが、結局のところその凄さが何なのか私にはよくわからないんですよね、この作品。

リエーターの水面下でぐらぐらと煮えたぎってるような、表向けのきらきらしている部分じゃないどろどろと濁ったような、そんな部分をけれどキャッチ-にすくい上げたみたいな。ポップさと狂気が絡み合ったような底知れない感じに持って行かれるのですが、結局私はクリエイターではないのでそれが何なのか、分かるような、分からないような。でもやっぱりこれは凄いなと、それは確かだなと。

映画を撮りながらあのシーンに向かっていく高揚感、そしてハマるべきものがハマるべきところにハマって突き抜けきった感じも素晴らしかったのですが、序盤のミスティアの黙々とサプリを取ってトレーニングをしてるところとか、工事現場でバイトするナタリーのシーンだとか、そういう何気ない所で、ぐっと引きずり込まれるような感じがあったのがとても印象的な一冊でした。引力の強い、作品だなって。