君の名は。 Another Side:Earthbound / 新海誠・加納新太

 

君の名は。 Another Side:Earthbound (角川スニーカー文庫)
 

 瀧in三葉、勅使河原、四葉、そして三葉の父の俊樹の視点から語られる君の名はのサイドエピソード集。

瀧が三葉の中に入ってる時にどう暮らしていたか、勅使河原が自分の家と町のことをどう思っているのか、四葉が姉や神社のことをどう思っているのか、三葉の父が何故瀧in三葉が来た時に驚愕し、その後住民を避難させたのか、そういった映画の補完をするエピソード集なのですが、通して読んで感じたのはこの町における宮永神社という信仰の特異性。

映画は入れ替わりと時間軸のズレを細かく繰り返しながら構成されていて、SFとして見ている感覚が強かったのですが、これを読むと、この作品、徹頭徹尾、宮永という宗教の話をしていたんだなあと感じます。日本神話の主流からも切り離された土着の信仰における、彗星、組紐、結びの意味合い。遥か昔から流れ続ける時の中で、何が導かれ、そして「あるべきように」なったのか。

結ばれ繋がり巡りゆく、宮永神社信仰という大きな流れの中に、瀧と三葉の物語も、俊樹と二葉の物語も全てはあったのだなと、そんなふうに思いました。