大橋彩香 Special Live 2018 ~ PROGRESS ~ 5/27 @ パシフィコ横浜

 

PROGRESS (初回限定盤) (特典なし)

PROGRESS (初回限定盤) (特典なし)

 

1stライブから2ndへの進化もまあ大概にびっくりした訳ですが、その線上よりも、アルバムの出来が良かったこととファンの贔屓目で高めに見積もっていたものより更に上空を撃ち抜かれたのでちょっと唖然としました。本当に。

大橋彩香初めてのホールライブは、これでもかというくらい様々な演出とチャレンジと、そしてそれを支える歌やステージングの積み上げが半端ない、まさに進化のライブでした。いきなりドラムソロから始まって、バラードからカッコいい曲に可愛い曲、アッパーな曲まで歌って、ダンス曲ではダンサーのやるようなダンスに挑戦して。

理想に向かってやりたいことはもう全部突っ込むし挑戦するという気概を、不安で仕方ないから石橋を叩くと本人が語る性分が邪魔するんじゃなくて、一定のクオリティまで全部を引き上げるんだという方向に働いているの、ちょっと凄いです。やたらストイックに体を鍛えたり、色々なアーティストのライブBDばかり見ていますと語っていたの、そりゃあこれを実現するためには必要だったろうけれど、様々なコンテンツのライブに参加して、もちろん声優としての活動もありながらこれって、いや本当に、凄いとしか。

あと、2ndライブで見えた演じるように歌うという部分が完全に歌としての表現に昇華された結果、声量があって踊ってもぶれないくらい安定した歌に表現力が加わってえらいことになっていました。「バカだなあ」からの「Sentimen-Truth」の感情の入りっぷり、アコースティックで激しい曲を演るという「勇気のツバサ」で感じる声の力。それから、私はこの人の声の伸びが凄く好きなんですけど、高音のロングトーンがほんとすごいなと。あとあと、ステージでの立ち居振る舞いも、すっかり堂々としたものになって、「ステージで歌が上手い子が歌っている感じ」から、「ステージから会場を掌握している」くらいまで進化していたので、本当に、何を見せられているんだろうかと。ファンだから応援するだとか成長を見届けるだとか、そういう段階から、ショーとして形を為したひとつ上のレベルに手がかかっている感じがあって、お前ちょっと嘘だろそれはもう数年後の話だろって。

それでいながら、まだまだ伸びしろがあるというか、足りないものがあるんだっていうのを、やっている方も見ている方も感じるようなライブだったと思います。異様に高い理想が目指すべきライブとして明確にセットされて、まだそこに向かいはじめたばかりというか。だから、現時点で凄い物を見せられても、これはあと5年、10年したら、もしかしたらとんでもないものが見れるのじゃないか、本当に上まで行けちゃうんじゃないかとワクワクするような、そんなライブでした。

 

そしてその「理想」だとか「進化」というものは 2ndアルバムからライブまでを貫いたテーマなのですが、「進化した」じゃなくて「進化途上」なんだなと思います。

だから、2ndアルバムを聞いた時は、まだ見ぬ未来に向かおうと歌う「シンガロン進化論」で始まって、届かない理想との乖離とそこへ向けて歩き続ける覚悟を歌う「Sentimen-Truth」で終わっていたのだろうと思っていたのです。なのでライブもてっきりそういう構成なんだと思っていたのですが、「Sentimen-Truth」が前半に持ってこられたことでこれはヤバいと。

だってあんなに進化と進化と言い続けた上であの曲がここに来るのなら、そこから先は歩き初めた第一歩目で、まさに「進化してきた今まで」と「まだ届かぬ理想に向けて進化するこれから」の境界線がライブのど真ん中に置かれた訳で、いやそれはもう、ねえ。

その上で、ライブ最終盤、最大の盛り上がり曲である「ワガママ MIRROR HEART」の後に、以前より格段にレベルが上った「ABSOLUTE YELL」「流星タンバリン」と続いていくのは、これが大橋彩香なんだと改めて宣言されるみたいで。

歌うことで精一杯に見えた1stライブの最後に憑き物が落ちたみたいに楽しそうに歌っていた「流星タンバリン」と、もう一曲歌いたいとワガママを言った「ABSOLUTE YELL」から、ステージを楽しんでいる空気が伝わってきた2ndライブを経て、確かにここに繋がってきた線が見えるんですよね。多幸感のライブ。これが大橋彩香の表現したいライブ。それはちょっと追いかけてきた身としては泣くよね、本当に。

そして最後に「シンガロン進化論」で一緒にもっと進化していこうって歌われるセットリスト、ちょっとヤバいですね。軽く死にますよね……。

 

様々なことに挑戦してこれからも進化していく姿を見せる一方で、これが揺るがない芯だというものを提示しながら、今時点で受ける衝撃の大きさと、想像を超えて高い理想と、もしかしたらそこに届くのかもしれないという期待感をいっぺんに抱かせる、そんなライブだったと思います。いや、ほんと、うちの推し半端なかったんだって。