Yuki Kajiura LIVE vol.14 "25th Anniversary Special"<追加公演> 7/22 @ 中野サンプラザホール

 

Dream Port(DVD付)

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この10年は本当にたくさんのライブに足を運んだなと思うのですが、その転機というか、私の原点になったライブは何かと言ったら、10年前のアニサマ2008 2日目と、そしてもう一つが Dream Portなんですね。

梶浦由記とRevoの二人の作曲家によるジョイントコンサート形式で、初めて生でサンホラを見た機会でもありました。そして、そのテーマソングにして、本当にその時限りで演奏された曲が「砂塵の彼方へ…」という、二人の共作曲。それから、2回目のDream Portが見たいと常々言いながらも、もう二度と聞けない、特別なライブで聞いた、特別な曲だとずっと思っていて。

それが、このタイミングで、まさかここで、聞けるとは思わなくて。

今回の追加公演はこれまでのゲスト総出演で、それがアンコールで全員並んだ時に、梶浦曲でこんな人数で歌う曲はそんなには無かったから期待しなかったかというと嘘なのです。でも、アコギのイントロが始まったら声にならない声が出たし、シークレットゲストでRevoが出てきたらすべての言葉が失われましたよね……。万感、というか、言葉にならない何かが胸に押し寄せる感じで、ちょっとなかなか経験の無いような。終演後に真っすぐ歩けなくて、ああライブ後に要介護になってる人たち、こういう感じなんだなって他人事のように思ったり。

 

今回のvol.14、事務所独立の話でどうも色々あるんだろうというのはKeikoとWakanaがいない時点で分かっていて、だから正直、これが最後かもしれないという気持ちで足を運びました。それでも初日を見て、梶浦由記という人の活動も、ライブもまだ続いていくんだと安心したライブでした。今までとは違うことをやっているライブなのは分かって、できるようになったことがあって、できなくなったことがあって、それでも梶浦由記の音楽は変わらない、ずっと私が好きな音楽のままだな、というような。

スペクラ時代のFJC、梶浦ファミリーという単位で長く続いた活動は確かに確立されたものだったけれど、FictionJunctionというものはそもそも最初から一人ユニットだったよなと、そこからもう一度積み重ねていくために、それを確認していくライブだったように思います。それぞれに抱くFiction、音楽を追いかけていく中で、誰かの音楽活動と交わる交差点。その上に駅があってもいいじゃないとMCで語った通りに、新しいファンクラブは「Fiction Junction Station」で、興した一人事務所は「Fiction Junction Music」で。事務所から独立しても、交わる人たちが変わっていっても、梶浦由記梶浦由記の音楽を進み続けていることは、ずっと昔から何も変わっていないんだなと、次々にゲストシンガーが登場し、代表曲がこれでもかと奏でられていく総集編のようなセットリストを聞きながら思いました。とにかく豪華だった……。

 

それで、アンコール1曲目が「砂塵の彼方へ…」なんですよね。

 

この曲、共作でよくこんな歌詞がまあと思うような強烈な曲で、焦がれ、祈り、この身を捧げ、幻想へ、永遠の音楽へと手を伸ばすみたいな歌詞で、その先でまた僕らは廻るだろうと歌っています。

改めてこれを聞いて、同じように一人だけのユニットを主催して、同じようなスタンスで音楽に向かう同志なんだなあと。だからこそ決して線では交わらないし、Dream Portは点のイベントでしかありえなかった。でも、この、改めて自身のスタンスを問い直すようなライブをするタイミングで、この歌詞を一緒に書いた同志であるRevoが駆けつけるってそれはもうなんというか凄くないですか!?

 

また歌い出しの歌詞が

旅人の季節は常に 過去へと現在を奪うけど 

あの日重ねた歌声は今もまだ響いてる……

10年を経てこれを歌うのやばくないですか!?

最初から未来のために作られた曲だったんじゃないかって気すらしてきませんか。

 

そしてこの曲、梶浦由記とRevoの二人で歌うパートがあって、

砂を超えて 遠い岸辺で僕等は出会うだろう

あの日重ねた歌声をこの胸に

砂塵の彼方へ……

今が砂を超えた先なのか、まだ途中なのかはわからないけれど、今これを歌うためにJunctionで交わったというというが、もうね。

そして、最近高いキーは歌っていないからと嫌がった梶浦さんに、ここは梶さんが歌わなきゃだめだと言ったRevoやばいね? それで次は50th(25年後)だと言って去っていったのも、そういう意味の曲なんだよって感じで本当にやばいね??

 

あまり音楽の外側に意味をもたせることを好まれるようには思えないし、私は梶浦さんの音楽だけあれば、梶浦さんの言う一対一の関係が続き続けることが一番の望みなのですが、ただ、今回だけはどうしてもそこに特別な意味を見出してしまうライブでした。それもまた、私だけの、音楽への妄想だということで。

今はただ、これからも進み続けるだろうものと、いつかまた廻るだろうものに思いを馳せながら。