小林さんちのメイドラゴン 8 / クール教信者

 

 カンナと父親を巡るどシリアスな長編という意外な内容となっている第8巻。元々随所に重さを隠さない作品ではありましたが、普段は日常系の作品が劇場版ではシリアスになるような感じの1冊という感じでした。

とはいえ、やっていることは変わらないのだと思います。どういう生きるのか、誰と生きるのか、何を選ぶのかみたいなものが核にあって、今回は闘いのためにカンナを連れ戻しにきた父親と、親に愛されたいと思ったカンナのすれ違いの話がドラゴンの闘い規模のスケールで展開するだけで。ただ、闘いの果てに束の間の安息を見つけたドラゴンが、それを守るためにまた闘うというのは皮肉なものであるなとは思いました。そしてそんな中であれができる小林さんはもう既に普通じゃないよなあと。ドラゴンと付き合っていくためとはいえ、貫くものと捨てるものへの判断が苛烈すぎる。

それから、読んでいるとドラゴンの世界に馴染みすぎてしまった人間と、人間の価値観に染まりすぎてしまったドラゴンたちがこの先どうなっていくのか、そういう不安を抱かせるような話でもありました。どこまで寄り添っても、人間はドラゴンになれないし、ドラゴンは人間にはなれない。その異種間コミュニケーションの根幹が、この先でもう一度問われそうだなと思う一冊でした。