【マンガ感想】メイドインアビス 8 / つくしあきひと

 

 ヴエコの口から語られる、成れ果て村のなりたち。はるか昔に黄金郷へと潜った、捨てられた者たちの決死隊「ガンジャ」。彼らにアビスの底で何が起きて、そしてどのようにして村は成ったのか。

この作品のひどい話が生易しくないことなんて、そりゃあプルシュカの話を経て読んでいるのだから分かっているつもりだったのですが、いや、しかしこれは、絶句するしかないレベルで……。

たどり着いた黄金郷で退路は絶たれ、やがて襲い来る未知の病。急激に追い詰められる中で、手にした願いを叶える遺物。イルミューイという子を成せない身体が故に故郷を追われた少女とヴエコの関係。そして、最後に彼女が願ったもの、隊の皆に必要だったもの。純粋な願いを逆手に取るように組み上げられていく最悪は、けれど悪意によるものではなく、犠牲と狂気の上で命は繋がれた。その結果そのものが、成れ果ての村。

最初にこの階層の話が始まった時に、圧倒的な人ならざる者の領域だと感じたそれが、まさに人の業の行き着く先だったということが、何よりも酷な話だと思います。本当に、ここからいったいどうなれば良いというのだろう……。