【ライブ感想】上田麗奈1st LIVE Imagination Colors

 

Empathy

Empathy

  • アーティスト:上田麗奈
  • 発売日: 2020/03/18
  • メディア: CD
 

 配信で視聴。

とんでもないものを見た……と思って、しばらく時間をあけてアーカイブを見て、やっぱり凄いものを見たと思いました。本当に凄かった。

 

上田麗奈なら、音楽というよりもきっとお芝居をするようなテイストになるのだろうというイメージはあって、まさにそういうライブではあったし、そういうライブをするなら凄いものを見せてくれるだろうという期待はありました。ですが、まさかここまでのものとは思わなかった。

2曲めから本編ほぼ最後までの十数曲をMCなしで表現されるそれは、まさしく「舞台 上田麗奈」という感じ。立ち振舞い、仕草、表情、そして声による表現。いわゆる歌が上手いというのとは違う、剥き身の迫力、感情表現。というか、感情よりもっとイディアルなものを、上田麗奈という人の向こう側に感じているような印象すらありました。感受性の次元が違うというか、きっと生きている世界が違う。それをステージを通じて垣間見させられているような感じ。そしてそれを「Imagination Colors」と呼ぶか……。世が世ならこの人は魔女か巫女になっているのだと思います、本当に。

見ていて感じたのは、惹きつけられるというよりも、深いところに引きずり込まれるような感覚。人によってチャンネルが合う合わないはあると思うのですが、ばっちり合ってしまうと動けなくなるような引力があります。ライブや舞台を見ていると思わず目が離せなくなる瞬間があるのですが、それが最初から最後まで続くような緊張感。現地で見たかったという気持ちはある(チケット抽選外れた)のですが、私たぶん現地で見たら終わったあと椅子から立ち上がれなくなってたように思います。

 

1stライブであることも、本人は緊張して嫌だ嫌だと言っていたことも、チーム上田麗奈で積み重ねてきたものであることも分かるのですが、それでもその姿には、「上田麗奈の表現」さえあればそれだけでいつでもどこでも成立すると感じさせられる、絶対的な存在感を感じるステージでした。

【映画感想】シン・エヴァンゲリオン劇場版:||

 

One Last Kiss

One Last Kiss

  • 発売日: 2021/03/09
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 エヴァンゲリオンを終わらせる映画。清算する映画。社会現象にまで広がった25年に、けじめを付ける最終作。

私は大学時代にTVシリーズと旧劇場版を一気観したところからなのでリアルタイムで見ていた訳ではないのですが、それでもエヴァが終わったということへの感慨がありました。

 

以下ネタバレありです。

 

 

 

 

 

これまでの全てを回収していくのですが、難解な用語など分からないことは分からないままどんどんエスカレートしていくところはエヴァだなあと。でも必要なことはちゃんと回収する。TVも映画もこれまでの全部を踏まえて、ちょっと説明過多になったり説教っぽくなったりしても全部ちゃんと答えの方向に導いていく。まさかこんなに真正面から落とし前をつけるとは思っていなかったです。そこはもう本当にすごい。逃げちゃダメだを地で行ったような感じ。いやなんかもう、めちゃくちゃにえらいと思いました。

面白かったかと言われるとなんとも言えないところはあるのですが、そうやってきっちり向き合ったからこそ、ああ終わったなと、観終えて妙に清々しくなる映画です。

ただ、これはエヴァを終わらせるものだけど、観客のエヴァを終わらせてくれるものではないと感じます。どちらかというと、お互い25年考えてきたことの庵野総監督との答え合わせ。これまで色々あったのだろうけれど、人間とこの社会と未来に対して監督がとても前向きになったように感じるところがあって、それを含め、俺はこう生きてきたよ、君たちはどう生きてきた? みたいな。

なので、お前が悩み始めたからみんな悩んでたのに一人解決してスッキリみたいな顔してるんじゃねーよという気持ちがなくもないです。なくもないのですが、猶予期間は25年あった訳だしなあ……。

 

お話としては、ものすごく普遍的で、真っ当な物語に落ち着いたという感じはします。少年が父親を超える物語、母親から巣立つ物語。子どもたちはちゃんと大人になって、それぞれの人生を生きていく。

終盤にゲンドウが突然の長尺自分語りを始めたのは面食らったというか、笑っちゃいそうにもなったのですが、今までシンジから見て恐怖と超越の象徴みたいだった父親が、結局ただの人間であったということが見えるのは、父親超えのテーマとしてしっくり来るものではありました。それにしてもあのシーンは圧が強くて、監督の自分語りかと。

序盤に出てきた第3村は、作中でも一番フィクショナルな人類の未来への希望が託された場所だと思います。やっぱりどうしても、アフター3.11とかアフターコロナみたいなことを考えちゃうシーン。その被災後に不安定な環境下でもしぶとく生きる人たちの中に、人ではないレイ(そっくりさん)を放り込んで、人が生きることの象徴としてやらせることが農業なのも、生命の未来の象徴として描かれるのが赤ん坊なのも、素朴でベタすぎるくらいだと思いますが、最後まで見るとめちゃくちゃベタをやりきっている話ので納得感はあります。

それはそうと、レイ(そっくりさん)が村の人々と触れ合うことで自我を育みながら幸せに暮らす話で良かったじゃんみたいな気持ちが、どうしても捨てられない。つらい。レイの可能性の一つとして結末で描く未来に繋がっているのは分かるけどつらい。

アスカは今回も不憫で難儀な子で、大人にもなれないし、子供でもいられないまま、ずっと一人で頑張って頑張って頑張って、死装束着て特攻して最後は敵に利用されて、でも彼女にケンスケがいて本当に良かった。子供のままに大人にもなったようなケンスケが側にいるなら、アスカはこれからきっと大丈夫だと思えました。

そんなアスカ含めて終盤の子どもたちカウンセリング&自立RTAみたいになっていたところは変な面白さがありましたが、でも絶対に誰もエヴァに置いてはいかない、全部責任は取るし全部決着をつけるという作り手の強い気持ちを感じます。大人たちの抱えてきたものへの決着の付け方も含めて、そこは執念だと思いました。

そうなると確かにシンジがレイやアスカと一緒になるのは違うのですが、マリと一緒のエンディングはちょっとびっくりしました。というかこの人、アスカが14年先に生きちゃったからもう好きではいられないって言っている横で、14年どころか親世代なんですけど。同世代の仕事仲間の息子にちょっかいをかけてるのちょっと事案では。でも、最後の駅のシーンの少し大人になった姿で好きって思っちゃったので負けです。

そしてシンジくんはすげーよと。Qであんな事があったのに、それで立ち直れるのも、そこから一足飛びに成長したのも、覚悟が決まったらとんでもない突破力を持っているのも全然普通じゃない。ウジウジしているところが目立つけれど、やっぱりヒーローでまさしく主人公なのだなと思いました。特別だからこそ、特別じゃないサクラやミドリと対峙するシーンが際立つのだなとも思います。

 

全体的に言ってることは分かるが釈然としないみたいなところもあるのですが、まあ私はエヴァに人生乱された人ではない(エヴァの影響を受けた作品には散々乱されてきたけど)ので深くは考えないことにして、最後に駅から駆け出した二人を見て、ようやくだな、清々したな、さて今日からいっちょ頑張って生きてくか! という気持ちでいようと思います。終わった! 良かった!

【マンガ感想】まちカドまぞく 6 / 伊藤いづも

 

 5巻まで伏線回収と当初からは予想もつかなかった多くの事実と展開で凄かったのですが、よく考えたらこの街で過去に起きたことは何も明らかになっていなかったなと思い知らされた最新巻。相変わらずきらら4コマらしからぬ設定の詰まり具合と情報の出し方がすごい。

いやしかし……これは思った以上に壮絶な過去が、しかもスイカの話だけでうわあとなっていたところに、桃自身の記憶からも封印された過去の二段構えは唸るしか無い。ロシア語? の台詞の意味はわからなかったのですが、何らかの施設的なところで名前に数字が出てくるってそういうことですよね……。

桜やヨシュアたち大人世代の優しさと、起こってしまった残酷な事実を踏まえて、脅かされゆく多魔という街のため、ぽんこつ魔族は決意を新たにする。それでも彼女の周りには沢山の頼れる仲間がいるのだから、背負い込みすぎないで欲しいと思う一冊でした。

あと、作品のルールから外れた存在が、いつの間にかおかしいことが当然になって怪しまれなくなったところに実は重大な事実がみたいなやつ、散々これまで騙されてきたのにまたやられたなって。おぐらしおんでグシオン、そんなネタかよ! 本当に伏線の仕込み方に油断ならない作品だと思いました。そうなると、この巻のあれもこれも、設定上の仕込みに思えてくる……。

【小説感想】りゅうおうのおしごと! 14 / 白鳥士郎

 

りゅうおうのおしごと!14 (GA文庫)

りゅうおうのおしごと!14 (GA文庫)

 

 最終章開幕。表紙が物語る通り、八一は完全に追いかけられる立場となり、ついにあいの物語が始まったという感じの1冊。

いやしかし、将棋の世界、勝負の世界、恐ろしいところですねと。小学生のするような決断じゃないし、覚悟じゃないですよこれ。これまでも、特に勝負の場では大人びている描写は多かったですが、今回は一足飛びに超えてきたし、思ったよりずっと早く、ずっとはっきりと師匠の元を巣立っていったと感じます。

そして姉弟子は、上げて落とすというか、本当に作者は銀子を地獄に投げこむのが大好きだなというか。将棋でしか人間関係を繋げなかった少女が、想い人の背中に手を伸ばしてプロ棋士になりようやく掴みかけた関係に、それは将棋とは両立しないよと返す刀で斬り捨てるの、たちが悪いなと思いました。銀子の根本問題は何も解決されないまま、バフにバフを重ねて力押しに押し切ったけど、身体的な限界できっちり帳尻が合うの、あんなに感動的で熱いここ数巻だったからこそ、それは……。

それから、絶対に勝ち筋がないってわかっているのにここから天衣のターンやるんですか! いや勝負に絶対は無いから、ここは攻めの一手ですよね勝負師ですもんね分かります。分かりますが、いや9巻最高だったじゃんもう許してよ……という気持ちが無くもない。

全体的に、これからの闘いへの期待と高揚感はありつつ、この時点でめちゃくちゃにしんどいんだけどこの先どうなってしまうのかと思う最終章の開幕でした。予想は超えてくるだろうという信頼はあるし、間違いなく楽しみなんですけどね!

【マンガ感想】ダンジョンの中のひと 1 / 双見酔

 

 並外れた冒険者だった父が地下ダンジョンに消えて3年。未踏の地下9階層で命をかけてモンスターと闘うクレイだったが、戦闘中に事故で壁が崩れるとモンスターは喋りだし出てきた少女はダンジョン管理者を名乗り……なんやかんやでクレイは運営側として働くことにというお話。

冒険者達が命をかけて潜るダンジョンに運営管理者がいて、いつの間にやらそちら側の人間になっちゃった冒険者のお話ですが、謎の力を持つ管理者や普通に仕事としてダンジョンで働いているモンスターたちとの話が面白いです。そう、ダンジョン運営の裏側を見ていくのも、スケルトンに入って冒険者のパーティーと闘うのも、まだ見ぬ階層のモンスターと手合わせするのも、普通にとても面白いのです。ですがこのマンガ、読んでいるとなんだか不思議な気持ちになってきます。

派手に種明かしというかネタばらしをされて、今まで命をかけてきたダンジョンがこんなにビジネスライクに運営されているという、価値観がひっくり返るような出来事があったはずなのに、クレイのスタンスがあまりにも変わらないのですよね。父親の消えた謎も依然として自分が深い階層にたどり着くことで知ろうとしてるけど、運営側で10階層のモンスターとも知り合いになっちゃった今、自力でダンジョンを踏破するって心持ち変わってこない? だとか、モンスター側は複製体で死んでも本体は無事という命のアンバランスを知っても冒険者がダンジョンで死ぬことは当たり前と思ったままなの? とか。

そういうクレイの不思議なあり方も、彼女の父親が消えた謎も、そもそも何の目的でダンジョン運営なんてしているのかも、いま時点では表層だけを見せているこの物語の先で、だんだんと繋がってくるのかなと楽しみに思います。いや、クレイは本当にただそういう人なだけという気もしなくはないのですが。

【ライブ感想】THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS Broadcast & LIVE Happy New Yell !!!

 

 まずはこの情勢の中で、配信でこれだけのライブを、当初は有観客予定だったとはいえ、通常ライブと全く変わらない規模感でやってくれたことに感謝。配信ライブはここ1年で随分見たけれど、どうしても収録の歌番組みたいになることも多いので、素敵だった和風の新規衣装もステージの作りも演出も構成も含め、ああいつものシンデレラガールズだと思える、ライブ感があるものを見せてくれたのが本当に良かったです。我々が愛したものはまだ失われていない、大丈夫って思えたことが何よりで、後はとにかく採算が取れていてくれと願うばかり。

 

新春特別ライブみたいな位置づけで、初日はとにかく面子がフレッシュだったのですが、こういうものを見るとシンデレラガールズというコンテンツの特異性を感じます。100人を超えるキャラクターに徐々に声を付けていったので、演者と楽曲に明確に世代が生まれているし、なかなか順番が回ってこないソロ曲の重みが大変な事になっているという。今新規IPを立ち上げようとしたら取られないやり方で、偶然うまく行ってしまったから諸々のデメリットも抱えながら無人の荒野を突き進むコンテンツだからこそ、あまり他で感じないようなエモさが出てくるんだなあというライブでした。

初期を象徴する曲である「ススメ☆オトメ ~jewel parade~」や、アニメとCPを象徴する曲である「GOIN'!!!」を新しい世代が並んで歌うの、ずっと追ってきた身からするとそれだけでエモいのなんのって。この新人、中堅、ベテランのバランス、なんだかもう、スポーツチームを長らく応援してきた人のような気持ちになります。いやだって、アニメメンバーを外してきた4thSSA初日に、ここが今後のシンデレラの試金石だと思ったステージに立った新人たちが今では中核ですよ、感慨深いとしか言いようがない。

そして待たされに待たされたソロ曲、どれもPと演者の強すぎるくらいの想い入れで特別になるのですが、「あらかねの器」とか「思い出じゃない今日を」のように、キャラクターのこれまでとこれからみたいな歴史まで背負わされると地面にめり込んむんじゃないかというくらいの重さがあります。ソロ曲もっと出してくれよと常々思ってはいるのですが、安売りしないからこそこの激エモなのも確かで、これも一つのシンデレラの味なのだと感じました。特に柚なあ、あんなの柚Pじゃなくても死んでしまうでしょ。

 

あと今回のライブ、配信だからこその取り組みを惜しげもなくつぎ込んできたのがこのコンテンツらしくて良かったです。遠隔サイリウム&コメントにこれでもかと繰り出されたAR映像。ARは完璧にハマっている曲から、やりすぎに感じる曲もあれば、技術的に難しいものと十分にいけるものもありましたが、とにかくまずは全部やってみようという意思が感じられて面白かったです。手裏剣が飛び交ったりアパッチに撃たれたり神殿が築かれたりウ○コが降ってきたり色々有りましたが、「世界滅亡 or KISS」のように物語表現に使うのが相性良さ目なのかなと思いました。これは本当に面白いものを見せてもらったなという感じ。

 

 あとは特に印象に残った曲の感想を。

・「命燃やして恋せよ乙女」
 和衣装ならやるでしょうという曲ですが、間奏の台詞(「~~乙女」のところ)がツボに来ました。「こずえー、おとめー?」と「今年も17歳、乙女」でオチてるのずるい。

・「Claw My Heart」
美玲のカワカッコよさここにありっていうパフォーマンスでした。素晴らし。

・「ダイアモンド・アテンション」
格好良い系統のアニソンっぽい曲、ライブ映えします。1日目はナターリアのキレ味抜群のダンス、2日目は珍しく格好良く色っぽかったほたるが印象的。

 ・「Take me☆Take you」
あかり、あきら、つかさの3人があんまり相性がいいもんだから、散々りあむがハブられてることをネタにしてきたのですが、#ユニ募3人揃ったらあまりにエモくて泣きましたね。最新世代のCu、Co、Paの3人に、ピンク、ブルー、イエローのスポットライトが降りてきて、ああそうだよこれだよってなるのはもう刻みつけられたものがある。更にこの曲というのがね……。

 ・「愛の讃歌
ありがとうぱるにゃすライブに来てくれて、桃華を愛してくれて。

・「世界滅亡 or KISS」
1日目に出現した神話ゾーンの皮切り。物語になっている曲の展開、挟まれる台詞、そしてこの長さが、ローランとしては完全に身に馴染みがあるやつで大好きです。そしてこれを喋りきって歌いきったフカガワサン凄かった。日菜子ワールド全開でした。

・「君のステージ衣装、本当は…」
歌詞があまりにもヤバい。これは本当にヤバい。花開き遠ざかっていくアイドルの姿に、仲良しだった幼馴染でも、前のプロデューサーでも、駆け出し時代のファンでも、下積み時代の同期でも、君だけの解釈で巨大感情を抱えて、激エモになろう。

・「Brand new!」
やっぱりもう曲が最高だし、3人の声のバランスも最高なんですよ。そして何より、明らかにこれまでとは違うカラーを持っている、新世代のシンデレラガールズを象徴する一曲。この曲が来て、このコンテンツ後5年は戦えると思いました。シンデレラの時計は止まらない、本当なんだなと。

・「OTAHEN アンセム
曲がとんでもないし、コールどうするんだと思ったら他のアイドルと画面がうるさいほどのAR演出で押し切るしで、夢見りあむここにありを決定づけたパフォーマンスでした。そしてこれ、やっぱり令和の「あんずのうた」だと思うんですよ。アウトローを走り続けるシンデレラガールズの魂を感じる曲です。そしてりあむの声で全くブレずに完璧に歌い踊る星希成奏が凄かった。やっぱりりあむはすげえよ。

・「青空エール
横断幕がかかりフラッグが揺れる客席を見て、晴にも見せたかったなと思いました。いや、AR演出は演者には見えないんだけどさ。

・「幸せの法則 ~ルール~」
かこほたですよ。もうね、ヤバいですね。かこほた、ステージ上でもファンの方は見ていなくて、お互いのことしか見ていないんですよ。Cメロからの向き合うところ、お互いのパートを歌うのをもう一人が見ているときの表情、最高でしたね。歌詞もね、最高なんですよ。尊かったですね。神秘的な演出も良かった。かこほたPの魂が異界送りされてると言われていましたが、さもありなん。最後のところ、コロナのせいで演者間の距離は詰められなかったけれど、私の中では抱き合う2人が克明に見えていました。幻覚じゃないよ。本当だよ。

・「躍るFLAGSHIP」
ベテラン2人の流石のパフォーマンス。好きな曲なので聞けて良かった。渕上さん、シンデレラガールとしてのライブということで、どの曲も気合が入っていました。

・「思い出じゃない今日を」
いやもうこんな曲をこのパフォーマンスで見せられたら柚Pは死んでしまうでしょう。柚Pじゃなくても、あるはずのないこれまでの思い出が走馬灯のように蘇ってくる一曲でした。泣いてしまう。

・「オタク is LOVE!」
好きなものを大声で叫ぼう! というこの曲は、190人のキャラクターがそれぞれに好きなものを掲げて正面突破を図っているシンデレラガールズの哲学だと思うところがあって好きです。エネルギー全開放っていう感じのパフォーマンスも良かった。ウサミンはこういうことをすると輝く。

【マンガ感想】めぞん一刻 1-15 / 高橋留美子

 

 電子書籍でマンガを読むようになると、場所を気にしなくて良い上に還元セール等が頻繁に実施されるので、いつか読みたいと思っていた作品のまとめ買いが捗ります。というわけで、高橋留美子は好きだけど未読だっためぞん一刻

ブコメの金字塔と呼ばれる作品だけあって、とても面白く読めました。思ったのは、ラブコメの骨子って40年(!)変わっていないのだなということ。時代背景や考え方に今見ると古いところはいくらでもありますが、勘違いすれ違い思い込み優柔不断で引き起こされる数多くのイベントの中で少しずつ関係が変わっていくところは、今に至るまで普遍的なものなのだと思いました。

そしてその展開の中心にいるのがこの作品のヒロインたる管理人さんな訳ですが、また凄いキャラクターですねこの人……。亡き夫に誓いを立てた若き未亡人で、親族から再婚を勧められても頑なに拒否するような人なのですが、じゃあ誰かに迫られても毅然としているかというと、そういう訳でもなく。アパートの入居者の五代くんと、テニス教室のコーチの三鷹さんに熱心に想いを寄せられると、拒否はしつつ否定はしないみたいな感じで、それがもうずっと続いていく。

というか、始まって数巻で五代くんのこと悪く思ってないというか、この人五代くんのことばかり考えてない? って感じなのですが、そこからが長い長い。めちゃくちゃお世話を焼くし、他の女の子と仲良くすれば猛烈に妬くけど、一定距離以上は近づかせない。そのふわっとした関係を何年も続けながら、時々ポロッと本音めいたものを出してくるの何なん。いやあんた五代くんのこと好きだよ、とりあえず付き合ってから考えてもいいじゃんと思いつつ、旦那さんのこともありそこを踏み切れないからこその14巻分約5年の時間。それにしたって2人の男性から好意を向けられる曖昧な状態を好んでいるところもあるんじゃないかなと思うところもありますし、そういう色々な感情が重層的に見え隠れするところがキャラクターの魅力に繋がっているのだと思いました。

そんな管理人さんのまじかよ! な行動は数々あるのですが、中でも旅行に行った下りは凄かった。不運なすれ違いも重なったとはいえ、数年プロポーズの返事を待たせていた三鷹さんに答えを迫られる→五代さん引き止めてと思いながら一人悩む→諸々すれ違いも重なり一人傷心旅行に旅立つ→旅先で五代さんが追いかけてきてくれたらと言い出す、はちょっと神がかったムーブでした。あと三鷹さんは常に不憫だった。惚れた女が悪かった。

そして五代くんは五代くんで浪人生→大学生→就職浪人という立場もあり、どこかふにゃっとしています。優柔不断さにあなたがそんなだからと思うことも多々ありますが、流されやすさと優しさの相乗効果で押されると断れないの、まさにラブコメ主人公! という感じもあり。でも子供にめちゃくちゃ好かれてるのを見ると、本当に良い人なんだなと思いますし、そんな五代くんだからその人はやめた方が……ともなるのですが、管理人さん、美人でスタイルよくて仕事ができて可愛げもあるので、その面倒さを差し引いても惹かれるのは、まあ分からなくもなく……みたいなところもあり。

色々とまあそんなこんなあるからこそ、二人が結ばれる15巻はもう全編ボーナスステージって感じで非常に感慨深かったです。本当に長かったよ良かったね心から良かったね幸せになってねという気持ちが作中の空気と周りのキャラクターと読者の感情で完璧にシンクロする感じ。いやもうこんなん泣くでしょう。名場面と言われるプロポーズのところも、墓前への挨拶のところも素晴らしかったです。まとめ読みでもそう思うのだから、これをリアルタイムで何年も追いかけてきた人はそりゃあ大変な感情になっただろうことは想像に難くなく、語り継がれる理由の一端を見た思いがします。

あとはサブキャラクターの立ち具合と魅力がまさしく高橋留美子っていう感じで楽しかったです。やたら人間関係が密な一刻館の住人たちもぶっ飛んでいましたし、本当にサブで出てくるようなキャラクターもいい味出していて良かった。五代のばーちゃんとあとキャバレーの先輩社員、好きです。

あと、八神いぶき好きなんですよね。五代くんの教育実習先の生徒で、実習生相手に恋愛ごっこしたくなる子供の火遊びがいつしか本気になって、でも五代くんには徹底的に迷惑な子供扱いされ続けるという。若さ故か性格故か、リスクも恥も外聞も全部を放り出してアクセルベタ踏みで迫っていく感じ、メインの二人がずっとぐだぐだしているから正反対な爽快感がありました。ちょっと勢いがありすぎてやべー女の片鱗が見え隠れしていましたが、まあそれはそれとして。

そんな彼女は去り際に管理人さんへ捨て台詞というか、痛烈なdisを残していくのですが、これがなかなかスッキリくるものがあって好きです。あと同じく管理人さんへの朱美さんのラスト近くでのdisは更にキレがあって凄かった。そう思うに、やっぱり個人的に好きだろうが嫌いだろうが、このめぞん一刻という作品は、管理人さんに尽きるんだよなあと思います。