Variante 2巻 / 杉基イクラ

Varianteーヴァリアンテー02 (カドカワコミックスドラゴンJr)

Varianteーヴァリアンテー02 (カドカワコミックスドラゴンJr)

精神的嗜虐性満点。主人公の追い込み方が酷くえげつないです。これは面白い。
前半は怪生物キマイラが左腕に取り付いたアイコの話で、後半は組織で働きアイコの担当者となる須藤の話。そしてキツイのはアイコの物語。1巻から突然謎の生物に襲われ両親を失い、自分は生き返ったものの左腕がその生物に侵食されていて危険な力を持っていて、親友もキマイラによって目も前で失い、社会的な居場所を失い、精神的な支柱も失いと酷いったらありゃしなかったんですが、生き延びるために身を寄せた施設で、左腕を使ってキマイラと戦い続けなきゃいけない2巻もまた辛いです。研究者には兵器扱いで、同僚には恐れられ、謎の生物と闘わされるという描写だけでずいぶん少女の扱いととしては酷いですが、精神的な描写がかなりちゃんとしててまたそれがキツイ。追い込まれてく様子がありありと。良い子でいようとしてガマンして頑張ってしまい、褒められ認められるとやたら喜ぶというアイコの性格設定がそれに拍車をかけてます。居場所を得て須藤に見捨てられないように闘い続けるところに、キマイラが心を持ってるかもしれないというベタ目の話を持ってくる辺りまた。自分こそ化け物かもしれないという感情を復讐なんだと泣き叫んで打ち消そうとする様子とかまた。嗜虐趣味のある人にはとてもオススメ。ちなみに私は大好きです。最終兵器彼女のちせに設定は近いかもしれませんが、あれよりも数段精神的追い込みの描写はきつい気がします。
後半の須藤の話は過去の施設から抜け出した謎の少女との思い出の回想が中心。守れなかった少女の面影をアイコに重ねるっていうのはそれほど珍しい話でも無いですけど、この施設の研究結果がキマイラに関連してそうで、この先悲劇的な展開しか予感させない辺りがなんとも。
絵や構成もいい感じですし、なかなか楽しみなマンガです。
満足度:A