ヴァンパイア十字界 5巻 / 城平京・木村有里

大真面目なんだかふざけてるんだかよくわからない雰囲気なのは相変わらず。この巻は、ヴァンパイアの血族の物語といいつつ異星人が攻めてきた前巻ほどのぶっ飛び具合はなく、夜の国を舞台にストラウスとアーデルハイト、ブリジットにステラといった人物達の過去の話。ステラ殺害や腐食の月光の暴走とその封印といった過去の重要な事件を、ブリジットの視点から語っていきます。ストラウスを巡る女たちの争いはドロドロしすぎないギリギリのライン。ベタベタなメロドラマになりそうな勢いですが、なかなか面白いので良いかなと。ただこの作品の怖いところは、これがあくまでブリジットの視点から語られた歴史であること。腐食の暴走の部分がすっぽり抜け落ちてることで、ブリジットの見た真実がストラウスやアーデルハイトの真実では無いこともあるわけで、まだまだ鵜呑みにできません。
次巻ではアーデルハイト封印からブラックスワンが世に放たれるところまで過去の話をして、また現代の話に戻るのか。過去の真実がある程度明らかになることで、現在の構図がどのように変わってくるのかが楽しみです。
満足度:B