ヴァンパイア十字界 6巻 / 城平京・木村有里

話が大部分明らかになってきて、過去と現代をまたいだ物語もそろそろクライマックスの模様。しかし、ヴァンパイアからダムピールに異星人侵攻、そして過去の因縁からなにから詰め込んで、ものすごいごった煮な物語になっています。作者があとがきで書いてるように一言でどういう話か語りにくいです。
この巻はブリジットによる回想から、ストラウスがついに動き出したところまで。ブリジットの回想は悲痛な魅力があって、ブリジットの物語としてこのマンガを描いても、十分面白い作品になったのではないかと思います。圧倒的な強さとストラウスに対しての弱さの両面を持ちながら、強固な意志の力で闘い続けるブリジットが非情に格好良いです。
ただこのマンガは構造的に、一つの真実を色々な人物の視点から切り取って次第に物語の全容を見せていくという方式を取ってるので、ブリジットの物語が全ての真実ではないというのがミソ。いくつかの疑問を提示しながら、ストラウスが動き出し、アーデルハイトが復活することで、どのような真実が浮かび上がり、その中で各キャラクターがどう行動するのかが楽しみです。
しかしあとがきで自虐的な謝罪に走るのはこの人の芸風なのでしょうか。
満足度:A