侵略する少女と嘘の庭 / 清水マリコ

侵略する少女と嘘の庭 (MF文庫J)

侵略する少女と嘘の庭 (MF文庫J)

表紙買いした嘘シリーズ第三弾。ちなみ前作、前々作は読んでいません。それにしても綺麗な表紙イラストです。背景もしっかりしてて、その場の空気が感じられるイラストで好み。
話のほうは実になんというかライトノベルらしくない話。キャラクターも設定も一般小説よりな気がします。超能力もバトルも萌えキャラもラブコメもありませんし。
中学生の男女4人組の仲良しグループに、キラー悪魔中山とよばれる人間関係クラッシャーな女の子が近づいてきて、という話で、中学生の微妙な距離感とか女の子同士の感情のやりとりとか、そういう部分の繊細さが素晴らしいです。なんとなく距離が開いてきた男女混合仲良しグループとかいかにもありそう。そしてその5人、特に問題児の中山りあとプラモが好きな主人公牧生の間で話が進んでいきます。嘘と嘘とが繋がって進んでいく話と、それぞれが内に秘めた感情が漏れ出てくる様は息苦しいけど、迫るものがありました。
りあのキャラクターが強烈です。ワガママで直言放言の限りで悪い子ぶっているけど、その反面「呪い」を抱えて弱さも見せるというずるいキャラクター。何となく感じたのはこの作者は少女が描きたいんじゃないかということ。牧生視点で物語は進むのですが、描きたかったのはりあなんじゃないかと。仲良しグループでも唯と琴美は掘り下げられるのに、裕貴はあまり掘り下げられませんし。
温かい訳でも、明るい訳でも、特別切ないわけでも無いですが、まとわりつく湿っぽいような空気感が印象的で、最後にはなんだかじんとさせてくれる小説でした。
でも出来はいいんだけど少し好みからは外れてるんだよなぁ……。
満足度:B+