DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件 / 西尾維新

DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件

西尾維新とDEATH NOTEでどうなるのだろうと思っていたら、これが非常に面白かったです。
西尾維新は、キャラクターとか世界観とかをつかむのはきっとすごく上手なんだろうとは思っていたのですが、ここまですんなりデスノ的なものを書いちゃうのはさすが。それでいてやや饒舌な文章に西尾維新らしさも感じますが、それでもかなり控えめなような気がします。そして、きちんとミステリしていました。この人はこういうのも書けるんだって忘れていました。この辺、西尾維新は非常に器用な作家なんだなと思います。
内容はとても良かったのですが、巧妙に仕掛けられたいくつかの仕掛けに触れないで内容を語ることが非常に困難。とりあえず、Lの駒としてFBI捜査官南空ナオミが連続殺人の謎を解いていくものです。パズル的な要素もなかなか。キャラクターもLに対する愛情が感じられたり、南空のキャラクターがドジッ子でツンデレのカポエラ使いという極めて西尾維新らしい設定になっていたりと面白かったです。
とりあえず言えることは、Lメインの話なので原作マンガをせめてLでているところまで読んでおいた方がずっと楽しめるということ。基本マンガ読了が前提のノベライズなので、知ってると知らないとではやっぱり大きく違います。
満足度：A

以下ネタばれあり！

騙された！ 悔しい悔しい悔しい。
一応その線は考えなくもなかったのですが、メロの「竜崎と名乗った初の事件」、「南空ナオミはLに会っていた」という記述に完全に注意をそらされました。それでいて、竜崎というキャラクターを原作で知っていると、もはや疑う余地がなくなってしまうというノベライズでしかできないトリック。よく読めばヒントが撒き散らされているんだから本当に悔しいです。西尾維新はミステリもあまり書かないだけでちゃんと書けるんだと思い知らされましたとさ。