ヤクザガール・ミサイルハート / 元長柾木

ヤクザガール・ミサイルハート (竹書房ゼータ文庫)

ヤクザガール・ミサイルハート (竹書房ゼータ文庫)

あ、一巻完結じゃなかったのか。
良く見たら挟まっていたハガキに風雲急を告げる続編が今冬発売予定と書いてありました。
そんな訳で、この一冊はまさしくプロローグというか、俺達の戦いがここから始まった! みたいな感じでした。「異境」とか歴史とかそういった面白そうな要素が全てこの先への伏線とされていて、ちょっと拍子抜け。まぁ、この巻一冊でもボーイミーツガールでヤクザ抗争もので、結構盛り上がりはするのですが、着々と伏線を張っているのがこう分かると、この先に期待したくもなるじゃないですか。
そんな訳で日本とアメリカが未だに戦争中の現代、アメリカから広島にやってきた少年アドルファスと、ヤクザの鉄砲玉をやっている少女アカリが出会って始まる異能バトル。アドルファスもアカリも思慮不足というか、おいおいと思うような猪突猛進的思い込みの激しさがありますが、このあたりは段々と成長していくのでしょうか。ヤクザの組織やその説明は戯言シリーズや紅っぽく、日本刀を振り回すヒロインのアカリは電撃分を抜いたシャナっぽいという最近のライトノベルらしい小説でもありました。しかし、アカリがあまりにも強くて、ものすご勢いで敵を殺していくのはどうなんでしょう。ヤクザだというのもあるのでしょうが、登場キャラクター達の倫理観が色々崩壊している気がします。この辺りのキャラクター造形になんとなくアクの強さは感じましたが、この著者が語られてるのを聞いて想像していたほど変な小説じゃなかったです。ただ、良くできていましたが、なにかあまり合わなかったみたい。質感というか雰囲気というか、何かそういう部分で引っかかるものがあって、好きだとは言い難い感じです。好きになれるキャラがいなかったのも辛いところ。
でも、後半にかけてから引きで続編への興味を非常にそそられたので、続きも読みます。なんだかんだで楽しみ。
満足度:B-