終わる世界、終わらない夏休み 〜桜井深優の終末〜 /あきさかあさひ

どこまでも青い作品でした。
世界が終わる最後の4日間を繰り返す世界で、世界の終わりを防ごうとする3人の少年少女の物語。下巻に当たるので注意が必要です。
終末ものとループものの要素が合わさっています。前の巻では終わりに向かう世界をどう救うかがメインで描かれていたのに対し、この巻では4日間を永遠に繰り返す方法が提示されるために、幸せな3人での時間を永遠に過ごしたくなるという部分が出てきています。
そんな繰り返す日々の中で40回のループの末に和也を好きになって、その願いがかなわないことも知っているから、ループ抜けをせずに和也が好きな自分を消そうとする美優の思いは切ないです。個人的にはクライマックスシーンよりもこのシーンが印象的でした。
そんな感じで非常に色々と美味しい要素があるのですが、どうも活かしきれてない印象が。逆に要素が多すぎて、全体が薄まってしまった感もあります。それでもラストの演説への流れは中々良かったかなと。しかしながら、ここまでストレートにメッセージを投げつけられると、ちょっと引いてしまう自分がいて、いまいちノリきれませんでした。もう4年くらい昔の私だったらヒットしていたと思うのですが、今読むにはさすがに青過ぎます。そういう意味では結構読み手を選ぶ作品かも。
また、直球のメッセージが全面に出てる一方、世界の終末に関しての設定や人々の動きの関してはかなりいい加減な気も。そこに主眼が無いからなのでしょうが、いろいろルーズな部分が多かったような気がします。
満足度:B-