カラマーゾフの兄弟1 / ドストエフスキー

カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)

カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)

新訳が出たことを良い機会だと思って、挑戦した文学の傑作と言われる作品。
いやはや、こんなに大変だとは思わなかった。
そもそも私にこれを読む素地がないというのが根本的問題としてありそうです。ロシアの常識、キリスト教的問題、金と女でドロドロした人間関係、覚えられない名前・・・・・・といった部分で普段触れてないものが多くて躓きます。それ以上に、カラマーゾフの家族の説明に費やされる前半部分の退屈さが・・・・・・。
ただ、訳のわからないことをわめきまくる会合を経て、後半から結構面白くなってきます。キャラクター達の異様な饒舌さも慣れれば、変な流される感覚を生み出してこれはこれで楽しい。ただ、言ってることが一貫していなくて、AはBだと言ったそばからAはBであるわけが無い! とか言い出すのでなかなか読んでいても意味をつかむのに苦労します。雰囲気だけなら結構簡単につかめますが、それ以上に立ち入ろうとすると難解。
ただ、強烈なキャラクター達が織り成す物語をキャラクター小説的に読もうとすると、あまり頭を悩ませずにも結構楽しいです。アリョーシャがフョードルやミーチャに振り回されたり、リーズやカテリーナたち女性陣に面食らったりするのを見ているだけでなかなか面白い。カテリーナとグルシェーニカの百合百合な描写とかなんかもう。その後の唐突なしっぺ返しとか素敵。それでいて、文章の雰囲気やキャラクターの思考パターンが今までに読んだことが無い感じなので、不思議な印象を受けています。まだ一巻しかでていませんが、続きがでたら読みたい感じはしました。
満足度:C+