F1ブラジルGP 決勝

ミハエル・シューマッハラストラン。
これで一つの時代が終わると思うと、さびしいものがあります。しかも、これだけの走りを見せられたら、まだまだやれると誰でも思うじゃないですか。そんなミハエルの現役最後のレースは、スタートから怒涛の追い込みを見せたところでのパンク、そして最後尾へという苦しい展開。ただ、そこから圧倒的としか表現しようが無いタイムを連発して、先行くドライバーを次々とパス。最後にはバリチェロを軽く抜き去り、フィジケラのミスを誘い、そしてライコネンを力でねじ伏せての4位入賞。最高クラスの速さを未だに持っていることを見せ付けてのフィニッシュでした。まだいけると思うのですが、変に現役にこだわるよりは、ここでの引退が綺麗かなと思います。何はともあれ、ここ10年ちょっとのF1はほとんど常にミハエルが中心で、ミハエルが引っ張ってきたことは紛れも無い事実。F1ファンとしては、今までの活躍にお疲れ様と、そしてありがとうという声を送りたいです。
レースの方はマッサの完璧なポールトゥウィン。来年からライコネン・マッサ体制となるフェラーリとしては、良いつなぎになるのではないでしょうか。ブラジル人のブラジルGP優勝もセナ以来。ブラジルのためのレースだった印象です。
そして2位に食い込んだアロンソが2年連続のワールドチャンピオンを獲得。シーズン通して見せた安定した速さはここでも失われることがなく、プレッシャーをものともせずにしっかり2位に入ってのチャンピオン。まだまだ若いドライバーですし、これから数年のF1界を引っ張ることは間違いないと思います。そして14位からジャンプアップを果たし、アロンソを追い掛け回したバトンが3位と、来年が楽しみな表彰台でした。
その後ろでは、ライコネンが地道な走りで5位、そしてフィジケラバリチェロデラロサとエースの影に隠れる形になったドライバーが続きました。
そしてその後ろで素晴らしい走りを見せたのがスーパーアグリ佐藤琢磨。一回目のピットストップでトロロッソとMF1を置き去りにすると、トップ集団と遜色の無いペースで走行、デラロサクビサすら追いかけるという、バーレーンからこのチームを見ている人間としては涙が出てくるような快走を見せてくれました。苦しい状況の中、走るだけで精一杯だった開幕戦からこれだけの競争力を発揮するところまでもってきたチームの力には脱帽。来期が楽しみになってきました。
さて、これで今シーズンも終わり。ルノーのダブルタイトルで終わった2006シーズンでしたが、ミハエル最後のシーズンにして、ミハエルvsアロンソの新旧王者の苛烈を極めた対決が見られた、面白いシーズンだったと思います。来期はドライバー、チーム体制ともに大きな動きがあり、F1界の地図はおおきく塗り替えられることになりそうです。ミハエルはこの舞台を去りますが、まだまだF1は続きます。これからも繰り広げられる熱戦を、楽しみにしていきたいと思います。