扉の外 / 土橋真二郎

扉の外 (電撃文庫)

扉の外 (電撃文庫)

世界がもし一つのクラスだったら、みたいなシュミレーションゲームもの。
旅行の途中で突然宇宙船とされる密閉空間に閉じ込められたクラス。そしてその密室内でのルールを説明しクラスの管理を行なう人工知能ソフィア。そうした状況下でのクラスの状況が描かれます。そしてもう一つ面白いのは、戦略シュミレーションゲーム風のシステムで行なわれる対外的コミュニケーション。一つのクラスを一つの国に見立てて、それがさらに他の国との関係の中に置かれた時の状況をシュミレーションした感じ。
一つの国の意思決定のあり方や内政の状況を、クラス内の関係性でデフォルメした形で比喩して見せたり、多国間の戦力バランスや、その関係をシュミレーションゲーム上で比喩して見せたりする部分は非常に面白かったです。表面上描かれるのは密閉空間におかれたクラスの様子なのに、そこから内政や外交といったものの暗喩が見えるのが中々秀逸な設定だと思います。読んでいる途中はこの先どうなるのか引き込まれました。
ただ、その設定と両軸になる、極限状況でのクラス内外の人間関係というのがちょっとどうかなぁという気が。主人公の性格が反体制、反管理で自由を求めるくせに、盗んだバイクで走り出すことはできないような感じなので、ちょっとイライラします。自分の選択の結果としての状態を、相手が馬鹿だからという理由ばかりに求める主人公はどうかなぁと。そして人間関係も主要キャラしか描かれないので、本当ならもっと色々起きるだろうという気がします。そのキャラクターも無理にライトノベルっぽくしているような気がしますし。そして全てが投げっぱなしのラストは、きっちりした回答が欲しかったなと思います。全体的に描写が足りないような感じ。
ここらへんの閉鎖空間での人間関係を深く描こうとした部分と、国家の比喩的にデフォルメされた行動がかみ合ってない印象を受けました。個人的に設定は凄く面白かったので、ゲーム方向にもっと勢いよく振ってしまったものを読んでみたかったかなと思います。
満足度:B