放浪息子 6巻 / 志村貴子

放浪息子(6) (BEAM COMIX)

放浪息子(6) (BEAM COMIX)

あー、なんか言葉がない。
少し読むたびに悶えるので、読むのにえらく時間がかかってしまいました。情景描写、心理描写、人間関係、会話、間の取り方、表情といった要素が滅茶苦茶上手い上に、繊細な少年少女の感情とくすぐったいテーマを扱うものだから、もうお手上げです。
相変わらずドラスティックな展開があるわけではなく、当たり前に中学生活が進み学園祭で劇をやるのですが、この当たり前な空気とキャラクター達の言動行動が、心の奥底で何かに共鳴して「あるある」という感じを呼び出します。たぶん、この先修一は更なる難しい状態に追いこまれるのでしょうが、彼が性転換しようと、ニューハーフになろうと、男として生きる事を選ぼうと、それは劇的なものではなく、きっとこの当たり前に続いていく時間の延長上にあるのだろうなと感じました。
どのキャラクターが魅力的とか、誰と誰がくっついたら面白いとか、そういう楽しみ方が十分にできる素地があるのですが、そういう楽しみ方をしちゃいけないような感じがするのが不思議。私だけなのかな。
満足度:A