銀月のソルトレージュ 2 / 枯野瑛

相変わらず良質です。
今っぽいファンタジーというか、いわゆる学園異能的な話を架空世界でやっているという感じ。この巻では、魔法というものや、それに関わる人々のことがより深く語られる一方で、ある秘密が明らかになります。それが明らかになると共に、周りの人間がリュカに「忘れて幸せになれ」と言い続けてきた意味が分かる辺りは、切ないです。
設定や、キャラクター、その配置、そして物語といったそれぞれの部分の完成度が高い水準でそつなく安定している印象で、なんだか安心して読めて十分に面白いです。しっかり伏線を張って、それを回収するのもお見事。ただ、ここは飛びぬけて印象に残るという尖ったものは無いので、ちょっと物足りなさも。これだけ面白い作品に対してそんな無いものねだりは欲張りだとも思いますけど。
キャラクターは魅力的。メインとなる3人の女性キャラクターでは、絶対に裏があると思わざるをえないアリスより、個人的にはライアが好きです。途中まではそこまで魅力的に思わなかったのですが、ラストで明かされる秘密にやられました。そう考えて読み返すと、また全く違う魅力があります。あと、男キャラでは情けない中年男のように見せかけて、実は策士だったりするアルベールが良かったです。
綺麗に終わっているように見えながら決着していない部分も多々あって、この先どういう展開になるのか読めないのですが、まだ続くようなので続きに期待です。
でも、この帯は無い。
満足度:A−