GOSICKsⅢ ―ゴシックエス・秋の花の思い出― / 桜庭一樹

GOSICK短編集3作目。オールド・マスカレード号から帰ってきた後の秋の学園が舞台。
風邪をひいて寝込んだヴィクトリカのもとへ一弥が花とお話を届ける形の短編集で、そのお話の中に潜んだちょっとした謎を、ヴィクトリカが解き明かして一弥がびっくりするというスタイルで進みます。本当にちょっとした謎なのですが、案外ころっと騙される自分にびっくり。一番最初の話しかわからなかったです。話的には、女性の生き方にまつわる話が多いのが桜庭一樹らしいかなと思いました。短いですけど、なかなか面白い。
そうしたお話もありつつ、主眼はヴィクトリカと一弥の微笑ましさが力いっぱい溢れる関係でしょうか。お互いが強く固い信頼で結ばれてると分かっているから、ワガママを言うヴィクトリカも、それに振り回される一弥も、見ていてほわーっと幸せな気分になってきます。まさしくお似合いな感じ。それだけに、一弥に思いを寄せるアブリルがだんだん不憫になってきますけど。この先ヴィクトリカたちが巻き込まれるであろう運命に、アブリルも関わってくるのでしょうか。
ラストではあの人たちが登場。一弥とヴィクトリカを飲み込む、大きな物語の方も新局面に入りそう。何があっても、この二人ならきっと大丈夫だと思いたいところです。
そしてイラストの素晴らしさはもはや言うに及ばず。なんかもう凄みを感じる領域。
満足度:B+