重機人間ユンボル / 武井宏之

重機人間ユンボル 1 (ジャンプコミックス)

重機人間ユンボル 1 (ジャンプコミックス)

道なき道をフルスロットルで駆け抜けたらそのまま突き抜けちゃった感じのユンボル
10週打ち切りという結果がジャンプ的には全てなのでしょうけど、なんだかそれで済ませられない熱気みたいなものを感じるマンガではあります。
近未来の世界を舞台にロボットの登場するファンタジーで、主人公はちっちゃくなってユンボルというサイボーグというかなんかそんなのとして生まれ変わった工事戦士バル。そして姫とともに、かつて彼らの国を滅ぼした憎きゲンバー大王への復讐を、という筋書きも熱血バトルな感じもいけそうなのですが、何か細かいところのセンスが色々おかしくて子ども受けはしなかったのか。
とにかく、ネーミングの凝り具合が凄いです。重機や工事というところをテーマにしつつファンタジーに昇華しているのですが、大工事時代で武器はテツグンテ、敵は現場主義のゲンバー大王、国の名前はドヴォーク、隠されたユデンの園、そして姫の名前はリベッタ・グンテ・ヘルメート・ドヴォーク。もはや駄洒落すれすれのネーミングセンスですが、なんだかそれっぽくなってるのが不思議です。しかも巻末の設定資料を見ると万事この調子の設定がかなり作りこまれていることがわかります。
そして展開や会話のセンスもなにかがおかしい。ゲンバー大王登場シーンなどは凄いのだか笑えるのだかなんとも。歩くより掘る方が早いって・・・・・・。
ただ、そのおかしさが味になっていて、中々楽しいのも事実。話のほうも姫周りのさりげなく重い設定とか、バルの強い精神とか結構面白いです。絵も過剰なまでに気合が入っていますし、全体のもつ熱量はかなりのもの。その辺も含めて、カルトな人気の出そうな、異端の作品だったのかなぁという気がします。
満足度:B