トリックスターズC PART2 / 久住四季

トリックスターズC〈PART2〉 (電撃文庫)

トリックスターズC〈PART2〉 (電撃文庫)

さぁ、密室の扉は開きました。
トリックスターズという物語が、各巻でミステリの構造をとりつつも、天乃原周という魔術師の物語だったということを強く感じる最終巻でした。
何を書いたらネタバレというべきか難しいのですが、本編で展開する事件は点在した視点が大きな二つの流れにまとまり、さらに一つにまとまって解決へ。拡散するだけ拡散したPART1をどうするのかと思っていたのですが、やや描写不足な感もありつつきっちりまとめたのはさすが。みゃー子の恋とか、須美の恋とか、国塚を巡る女の闘いとか、もっと深く突っ込んで欲しいところは間々ありましたが、そこはまた別のお話ということでしょうか。
そして解決編となるその後は、まさしくtrickstersの物語というにふさわしい魔術と詐術に彩られた展開で、いいように振り回されました。この翻弄される感覚は楽しいです。
そしてラストはシリーズの最後としてこの展開かという感じ。ついにイラストになった表紙の彼女の決断と行動、そして言動に逐一やられていました。このシリーズは、彼女の成長の物語でもあったのだと、339ページのセリフを読んで思います。
トリックスターズというシリーズは、ミステリの定義の話はおいておいて、ミステリの要素に魔術という概念がきちんとルールを作ったうえで導入されていて面白かったです。出来にはばらつきがあったかなとも思いますが、Dなんかは大好きでした。キャラクターも魅力がありましたし、何より捻くれたり斜に構えたりする感じはあっても、歪んだり壊れていたりするタイプの話ではなくて、以外に爽やかな読感が味わえたのも良かったかなと思います。
クロスワードを解いていないのでなんともいえない部分もあるのですが、この引きということは、もちろん続編がでるのですよね? 
というか出してくださいお願いします。
満足度:A-