ハツカネズミの時間 3 / 冬目景

ハツカネズミの時間(3) (アフタヌーンKC)

ハツカネズミの時間(3) (アフタヌーンKC)

動き始める想い。
キャラクターたちの心情が絡み合ってきて、なかなか面白くなってきました。特に学園にいた4人に人間らしい感情が生まれてきて、でもそれが不安定だという様子がいい感じ。それぞれのキャラクターの立ち位置と想い、そして人体実験施設としての学園という設定が噛み合って、いよいよ動き出してきたなという感じです。
学園は実験施設ではありながら、約束された楽園でもある訳で、この辺りのテーマ踏み込めば踏み込むほどに難しい気がします。結局のところ会社や学校といった一般社会そのものを管理システムと捉えることもできるので。飼われる幸せと自由意思というテーマはどう処理するのかなぁともちょっと思ったり。
話の展開としては、学園に残ることを望み、槙を連れ戻そうとやってきた茗がちょっと怖い。槙がいる世界が幸せで、そのためなら手段を問わないというところで、槙の気持ちすら考慮していないという様は、いわゆるヤンデレ的なものを感じます。人とのかかわりの中で見せる不器用さは、このマンガのキャラ全般に通じてる気がするのですが、その中でも特に。
相変わらず絵は素敵の一言。
満足度:A−