黄昏色の詠使いⅡ 奏でる少女の道行きは / 細音啓

相変わらず雰囲気は抜群ですが、ちょっと微妙な面も。
名詠によって呼び寄せたものを返す祓名民として育てられた少女エイダが、その生き方に悩み名詠士の学校で学びながら自らの道を探す話。自分に何ができるのか、何をしたいのか、その道を歩むことは自分を一人にするのではないかと思い悩むエイダを支える周囲の人々、そして彼女の決心が素敵でした。この信頼の絆はクルーエルとネイトの間でも描かれていて、この作品にとっては非常に大きいものなのかなと思います。
切なさを感じさせるきれいな雰囲気や、ちょっとしたセリフでぐっとこさせる部分のセンスは相変わらず抜群。祓名民という言葉の由来や、サージェスがエイダにかける言葉なんかはかなりクるものが。
ただ、ストーリーそのものやキャラクターの心理はちょっと描写が足りないというか、薄いかなぁと思う部分もありました。無理のある展開に感じる部分が多かったり、祓名民という存在についてもう少し広く描いてくれないとエイダの思い悩む理由が分かりにくかったりというのはあるかなと。
その辺を差し引いても、動き始めたストーリーに吸引力はありますし、何よりこの雰囲気の魅力は捨てがたいものがあります。この先の話にも期待。
でも、ちょっとこれパワーインフレが進みすぎている気も。真精ってこんなに簡単に出ていいのでしょうか。
満足度:B