クジラのソラ03 / 瀬尾つかさ

クジラのソラ〈03〉 (富士見ファンタジア文庫)

ものすごい勢いで広がる話がある種爽快になってきました。
前の巻の段階でスケールを大きくしすぎかと思ったのですが、この巻ではそのくらいまだ序の口だと言わんばかりの大スケールな話に。スパイラルケージなど当たり前でアウターシンガーには第二段階があるというパワーインフレといい、世界規模どころか宇宙存亡すらかかった戦いといい、次々と提示される人知を超越した存在といい、本当にものすごい勢いでスケールが大きくなります。だいぶ置いてけぼりな感じはあるのですが、ここまで来るといっそすがすがしいです。平易でむしろわかりやすい文章と合わさると不思議な感じ。
ただ、そうはいっても話のほうは雫や聖一たちの物語であることは変わらず。仲間たちの絆というものをメインに据えているあたり、スポ根的な色の強かった最初のころの雰囲気を引き継いでいるような感じ。チームとして大きな事態に立ち向かっているというのがよく伝わってきてきます。
しかし、人間関係では雫と聖一がくっつくのかと思っていたら、雫と冬湖の関係ばかり密になるのが面白いです。聖一には郁恵もアリスもいるからいいのかもしれませんが。
次が最終巻ということで、どのようなラストになるのか楽しみです。
満足度：B+