福音の少年 魔法使いの弟子 / 加地尚武

福音の少年―魔法使いの弟子 (徳間デュアル文庫)

福音の少年―魔法使いの弟子 (徳間デュアル文庫)

「来訪」以来魔法を使える人間が現れた世界での物語。
内気でヘタレな少年御厨恵は、錬金術師である父象山に作ってもらったた身長15センチのホムンクルスの少女アナに愛情を注ぐ日々を送っていて、そんな夫と息子に頭を悩ます呪い専門の魔女典子。その御厨家に、天才魔女である留学生の少女大場エリカがホームステイにやってきて、勝ち気なエリカに恵は振り回されるばかり……、みたいな筋でこの小説が何かに似てると思った人は鋭い。
という訳で某アニメの二次創作小説をベースとしているのですが、キャラクター配置以外は完全にオリジナル。魔法のある世界で、御厨家を舞台に少しづつ動いていく物語として、なかなかの完成度です。全体を包む柔らかい雰囲気が特徴的。連作短編のような構成になっているので、恵とエリカの物語も、典子や象山メインの物語も読めます。大人の描き方が、最近のラノベっぽくないと思ったら著者の年齢を見て納得。大人を完璧じゃないけど魅力的に描けるのは良いなと思いました。
話としてはまだまだ導入編といった感じ。ストーリーもキャラクターも安心して読めそうだし、設定も細かく作りこんであるのですが、なんかこの柔らかい雰囲気からくるもっさりし読感が私には合いませんでした。この先も面白そうなのに、合わないっていうのもちょっと悔しい。
あ、それと魔女は素っ裸で飛ぶより、スカートや服が風ではためくところがポイントなのだと声を大にして言いたいです!
満足度:B+