嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん2 善意の指針は悪意 / 入間人間

続編が出たことにちょっと驚き。
みーくんまーちゃん2巻は1巻の事件でみーくんが入院することになった病院が舞台。失踪事件、まーちゃんの見つけた死体、調査を始めるみーくん、お見舞いに来る元カノの長瀬、入院しているその妹。語り手のみーくんは嘘吐きで信じられ無い中、一見ばらばらだった繋がりを見せて浮かび上がってくる真実の悪趣味さったら。
なんだかこの小説のキャラクター達は、誰もかれも自分のことしか考えてないような気がして、そのあたりがこの悪趣味さの根源な気が。みーくんとまーちゃんは「らぶらぶ」ですけれど、それも相手のためを思ってにはとても見えないですし。むしろ他人を人として認めていないような、そんな印象。過剰なまでに個性付けられたそれぞれのキャラクターの造り物っぽさが、その印象をさらに加速しているような感じすらします。この小説の場合、それが魅力なのだと思いますけど。
ただ、この巻は前半部分が少し冗長だったかなとも思います。最後まで読むと意味があることはわかるのですが、読んでいる間はちょっとだれる感じ。あと、色々と過剰な言い回しで装飾された文章も、少しやりすぎな感じを受けました。
それから、やっぱり1巻でまとまっていたものの続編ということで、みーくんとまーちゃん自身の話からは少し距離があるという部分で、ちょっとパワーダウンを感じたりも。
ただ、狂って壊れた嫌な話なのに不思議と悪くない、むしろ仄暗い笑いが浮かぶような読後感はやっぱり好みだなと思いました。
満足度:B+