AKUMAで少女 / わかつきひかる

AKUMAで少女 (HJ文庫)

AKUMAで少女 (HJ文庫)

TSものでラブコメでちょっとえっち。
ジュブナイルポルノ方面で有名なわかつきひかるの初ライトノベルは、ど真ん中のTSラブコメでした。勝ち気で素直になれない少女と、気弱な少年の体が悪魔の仕業で入れ替わってしまうというお話。自分の裸にドキドキとか、トイレがどうのとか、下着がどうのとか、TSものらしいイベントをこれでもかと詰め込んだ感じで、そういう方面が好きな人にはたまらなそう。
そして軸はきっちりとラブコメ。お互い素直になれない少年と少女が、相手の立場に置かれて色々なことに気づいたり、入れ替わったことで色々なトラブルが巻き起こったりする中で、ケンカしたり距離を詰めたり。その中で別の女の子が関わってきたり、ヒロインの抱えた病気が重要な要素になったり。
そして、本筋の部分とは別に特徴的だったのは、直接何かがあるわけではないのにやたらとえろっちく感じたこと。というのはおそらく、ライトノベル少年マンガが踏み込まないようなところまで軽やかに踏み込むあけすけさが、しかも女性ならではの視点を伴って存在するからではないかなと思います。変に力んで狙っているわけでもない衒いの無さというか。
個人的にはその辺りのあけすけさや、ノリの軽すぎる文章が少し苦手に感じたりも。それでも、ヒロインは可愛らしいというにはちょっと傍若無人でも、心臓の病を抱えて過度なまでに気丈に生きている姿は魅力的ですし、主人公もへたれと言えども芯の強さは見せるあたりが素敵。そしてラストではきっちり盛り上がって、しっかりハッピーエンドという王道展開は、さすがにラブコメには自信を持っているだけのことがあると思いました。
満足度:B