しおんの王 6巻 / かとりまさる・安藤慈朗

しおんの王（6） (アフタヌーンKC)

こんなに次の巻が待ち遠しいマンガは久しぶり。
なかなか話題にはなりませんが、さりげなくアニメ化されているしおんの王最新刊。将棋とサスペンスという両立させることが難しそうな割に、両立したところでどうなるのかという二本軸でスタートしたマンガなのですが、その二本軸ががっちりと噛み合ってきました。これは良い意味で予想外。
その辺りは、原作が元棋士であり作家としてもベテランのかとりまさる=林葉直子であることが大きいのかなと。棋士と作家を両立している人じゃなければ、この物語は書けないような気がします。ストーリーの運びがしっかりしている上に、一人一人の棋士の生きざまがとにかく格好良いです。それぞれの人生が対局の中に浮かび上がるこの感じ。私は将棋そのものについてはよく分からないのですが、それぞれのキャラクターが対局にかける想いを見せつけられるだけで、このマンガの将棋のシーンは素晴らしいと思います。そして眼の強さ。この絵でさらに魅力的に。
話はトーナメントも事件の方面もクライマックスが近付いて盛り上がってきました。悟と名人の間に何があったのか、そしてしおんの巻き込まれた事件との関り。トーナメントを勝ち上がったのがこの3人であることからも、事件の謎はこの3者を中心に解き明かされるはず。
そしてこの巻では歩の話にひとつの節目が。悟との対局で見せた雰囲気にはゾッとするものがありました。さらに安岡親子の対局も久谷の対局も見どころ満載。本当に面白かったです。
満足度：A