時載りリンネ！ 2 / 清野静

時載りリンネ!〈2〉時のゆりかご (角川スニーカー文庫)

文字を糧に生きる「時載り」の少女の、わくわくするような冒険の物語。
1巻で「時砕き」になったリンネですが、だからといって特別何かが変わるわけではなく相変わらず元気いっぱいに毎日を楽しんでいる感じ。久高やルウ、Gや遊佐との日常は子供らしいドキドキ感に溢れています。この辺りはやっぱり児童文学〜ジュブナイル的な感じ。
でも、設定やキャラクター造形にはライトノベルっぽさもあって、ジュブナイル風味のライトノベルというのが正しい表現かも。この辺のハイブリッドな感覚はなんだか読んでいてちょっと面白いです。1巻を読んだ時にはむしろその部分にちょっと引っかかりを感じたのですが、この巻ではバトル部分もボリュームが多すぎず、全体になじんでいる印象で良い感じ。反面盛り上がりどころには若干欠けている気もしますが、むしろこの安心感がこの小説の良いところかなぁと。
相変わらず読んでいて落ち着く文章は素敵。そして、元気いっぱいで真っ直ぐなリンネは可愛らしいです。ただ、リンネはこの先「時砕き」として様々な経験を積んでいくことになりそうで、波瀾万丈の予感。この巻でも見せた凪の持つ圧倒的な力と言い、逸脱者たちの動向と言い、リンネの父の研究の内容と言い、この先は平穏無事では済まなさそう。かなり辛い状況が待ち受けていてもおかしくはないだけに、その中でもリンネの真っすぐさが失われないといいなぁと思います。普通の人間である久高がどこまでリンネを支えられるのかも見どころ。
満足度：A-