ストップ☆まりかちゃん! / 菅沼誠也

ストップ☆まりかちゃん! (電撃文庫)

ストップ☆まりかちゃん! (電撃文庫)

き、気色悪い……。
天才美少女。専門は生物工学。そして、常識の通じないマッドサイエンティスト
型破りの天才「原色」の一人として保護される御堂鞠歌と、彼女と一緒の家に家族として住む星也、そして学校の友人たちの繰り広げるドタバタコメディ。専攻分野が「生物工学」で、しかも「マッド」という辺りで大体想像はつきますが、鞠歌が最早バイオ兵器に近いとんでもない発明品を作ってそれに回りが振り回されるという感じの話で、生物的な方向で大変グロいです。
ヒトデにクラゲ、ミドリガメにワラジムシ、ナナフシハリガネムシと、もはや嫌がらせで選ばれているのではないかと疑念すら感じるラインナップの生命たちを、原理不明ながらもっともらしい理屈だけはくっついた恐ろしい科学で、常人の発想を超えた活用をするものだからもう大変。ワラジムシが○○○○の大群になって迫ってくるとか、ヒトデでできた△△△とか、生理的嫌悪感を煽る描写がいっぱい。生物学の知識はきっちり盛り込んでくるだけに、ファンタジーな方向で逃げることも許されません。グニャとしたものがヌチャっとしたり、生ゴミと納豆とカレーを合わせたような臭いだったり、良く見たら小さな虫がワシャワシャしていたり。あわわ。
でも、そんなグロい様相を呈しながらキャラクターの方は可愛いというギャップが。鞠歌は白衣で額メガネな天才美少女で良い感じですし、高校の友人も天然ボケにクール毒舌なタイプと、類型的ではありますが魅力のある感じ。この萌えエロの配合具合は独自色があって良いと思うのですが、もう少し萌え方面に振っても良かったような。家族というテーマを扱ってるようで、その辺も消化不良感が残りますし。
そんな訳で私はちょっと苦手な感じでしたが、このバイオな感じは一部の人々の心を撃ち抜くような気もします。勢いもありますし、不思議な魅力に満ちていることは確かなのです。