生徒会の一存 碧陽学園生徒会議事録1 / 葵せきな

期待を裏切らず、危険なネタ満載のメタでギャグな暴走ライトノベルでした。
主人公と生徒会メンバーの美少女4人が、生徒会室で延々と駄弁る短編が7話という構成。生徒会メンバーはみんな美少女ですが、これは生徒会は人気投票で決まるから。そして、成績トップを勝ち取ることで特別枠で生徒会入りした主人公の黒一点である鍵は、生徒会をハーレムと呼んではばかりません。そんな都合よさげな設定を背負い、いかにもなキャラ付けがなされた美少女達と鍵がだらだらと喋るだけという小説。もしくはお子ちゃま生徒会長桜野くりむと生徒会の皆が遊んであげる小説。しかしながらこれが危ないネタを織り交ぜたりとなかなか面白いから困ったものです。
あとがきで作者自身が触れていますが、この作品は雰囲気的には萌え4コマやその周辺ジャンルの日常系マンガに近いものがあります。ライトノベルでそういう方向性の作品は珍しいような気も。
ただ、絵と間の醸し出す雰囲気という武器のあるマンガと違って、小説でこの種の作品をやると難しいのかなとも思う部分もあったり。掛け合いのテンポは確かに良いし十分に面白いのですが、そこだけに主眼を置くならもっと飛びぬけていて欲しいような気もします。ネタも既に危険水準とはいえまだまだ抑え気味のような気もしますし、どうせならもっと暴走して欲しいところです。
あと、バカ話をやっているようで、時々妙に教訓めいた話やシリアスな話が出てくるのはちょっと違和感が。個人的には、そういう話を出してくるよりバカで変態な方向に突き抜けてくれた方が好みかも。
話の中では、ラストの「えくすとら」とゲーマーズ特典冊子の暴走具合が素敵でした。巻頭カラーイラストで『残響死滅』と出てきていったい何事かと思ったら、こういうネタかと爆笑。確かに雰囲気は出ています。ありそう。ゲーマーズの方は、公式であるが故のやりたい放題具合が楽しかったです。次はアニメイトか!
あと、ラストの「会長のあとがき」での落としは巧いと思いました。正直途中まで読んでいて鍵への印象は限りなく悪かったのですが、こんな風に持ってこられたら思わず全肯定しそうになってしまうではないですか。
そんな感じで、どうかなという部分もありつつ軽い感じに楽しめたので、さらなる暴走に期待しながら2巻を待ちたいと思います。