秒速5センチメートル

秒速5センチメートル 通常版 [DVD]

秒速5センチメートル 通常版 [DVD]

レンタルで見ました。
新海誠らしい光と影が美しい映像と、抑えの利いた音楽にのせて描かれるのは、どこまでも純粋で一途な恋の物語。連作短編の形で、小学生の時代から社会人になるまでの時間の流れと、心の動きを切り取ります。
雰囲気的にも、あんまりああだこうだと言うのは野暮な気もしますが、それでも語りだしたら、結構いろいろなことが出てきそうな作品でした。第3話、クライマックスの流れは強烈。
どこまでも純粋で、それ故の残酷な現実。不純物を取り除いたような映像世界の中で、本当にキツいものを描くなぁと。「One More Time , One More Chance」にのせて流れる映像に、積み重なっていった時間を感じて、時間の中で変わっていくものを感じて、なんだかやりきれない気持ちになりました。まぁ、普通に考えたら極々ありふれた、当たり前のことなのですが、作品に入り込んでいた身としては、切ない。
そうやって入りこむという意味では、第1話の存在が大きいのかも。距離を越えて、時間を超えて通じ合う出来事があったからこそ、信じたくなったというか、夢が醒めなくなったというか。第1話の「桜花抄」自体は、吹雪の中で電車に乗っている心細さとかだけでなく、空気の冷たさまで伝わってきそうな映像といい、感動的なラストの純愛な感じといい、とても良かったのですけど。
美しくて、切なくて、苦しい、そんなアニメーションでした。見終わってから、ちょっとDVDを持っていたくなったり。