とある科学の超電磁砲 2巻 / 鎌池和馬・冬川基

シンプルに面白いっていうのは、実はすごいことなんだと思います。
使用者の能力のレベルを引き上げる反面副作用をもたらすという『幻想御手』に関る事件。存在すら掴めないそれを見つけ出そうと捜査を進める風紀委員の黒子。それに協力する科学者の木山。そんな中『幻想御手』を手にしてしまった佐天。そして事件はクライマックスへ……。
バトルと日常、コメディとシリアスといったメリハリ。ストーリー展開、コマ割などのテンポの良さ。魅力的な表情を見せて生き生きと動くキャラクター。物語は至ってシンプルで、能力者同士のバトルや明らかになっていく黒幕の正体、キャラクター同士の友情や信頼関係という部分は、キャラクターが少女ばかりだということを除けば基本的に少年マンガのフォーマット通り。その王道をこれだけのクオリティで見せてくれるのだから面白くないわけがない感じ。
とはいえ、ストーリー的にはもうひとひねりが欲しい気も。あまり込み入った話になるのはこのマンガの魅力を殺してしまうような気がするのでこれはこれで良いのかもしれませんが。
個人的にお気に入りなのは、レベル0である劣等感に負けそうな佐天に、初春が電話越しにかけた言葉。実に素敵な2人の友情でした。あと、常識にやや欠けた木山のキャラクターも割と好き。マッドサイエンティストというより、どこか抜けてる感じがするのが好感度が高いのかも。
そんな感じで、非常に面白かったです。敢えて不満を挙げれば、まさにボス戦なクライマックスシーンで引かれてしまったことくらい。早く次の巻を!