ひぐらしのなく頃に解 目明し編 1〜4巻 / 竜騎士07・方條ゆとり

盲目な恋心。辛い現実。起きてしまった事件。そして引きずられていく狂気の奔流。疑心暗鬼の果てにたどりついた結末は、まさに惨劇の二文字としか言い様がなく。
綿流し編で圭一の目線から描かれた事件の真の姿を描く解決編であるこの目明し編は、園崎詩音が全寮制の学園を抜け出して興宮に戻り、そこで北条悟史という少年に出会うことから始まります。双子だから入れ替わりだろうというシンプルな予想はもはや前提となって、そこで明かされる事実は不可解だった綿流し編の真実を、予想よりもずっと厳しい現実として見せつけてくれるものでした。
魅音と詩音という表裏一体の双子。彼女の抱いた恋心。北条家の置かれた境遇。雛見沢という土地に残る信仰と、雛見沢を支配する御三家というシステム。そしてオヤシロ様の祟り。
悟史と詩音が出会った昭和57年から惨劇の舞台となる昭和58年まで、ちょっとかけ違えただけのはずのボタンが全てを壊していくように、物語は悲劇に向かって加速します。特に、忌み嫌っていたはずの祟りに逆に呑みこまれていく彼女の姿は、本当に見ていて哀しいものがありました。残された文章のラスト一行が、もうなんとも。
詩音が悪かったのでも、魅音が悪かったのでもなく、雛見沢という土地のせいでもない。何ものが悪なのかすら分からないままに描かれる失敗の物語は、雛見沢という土地とそこで暮らす人々の姿を掘り下げながら、また別の物語へとリンクする模様。
ループする世界の繰り返しの中で明かされつつある物語の全体像。そのどこかに彼女が夢みたような希望があるのではないかと、彼女たちが幸せになれる世界を願うばかりです。