とらドラ8! / 竹宮ゆゆこ

とらドラ!〈8〉 (電撃文庫)

とらドラ!〈8〉 (電撃文庫)

動き出した時は止まらない。永遠に続くかと思った温い幸せな時間も、居心地の良かった関係も。だって、気が付いてしまったから。もう、戻ることなんてできないから。
あぁぁぁばかばかばかばかばかっ! お前らみんな大バカだよ! というか若いよ青春だよ何だよちくしょう! と読んでいて取り乱しそうになるとらドラ!の8巻。
実乃梨に振られて傷心の竜児、そんな竜児にまるで何事もなかったかのように接する実乃梨、竜児と実乃梨を上手く行かせるんだと独り立ちを決意する大河、やたらと不機嫌な亜美。そんな状況のまま舞台は学生の一大イベント修学旅行へ。
不器用で馬鹿なやつらが、お互いに相手のためを思って身を引いたり、上手く言えないもやもやを抱えたり、悩んでみたり迷ってみたりと、青くて苦い青春模様を繰り広げながら泥沼にはまっていく様子はもう苦しくて苦しくて。
なんでそうなるんだよ!とか気づけよいい加減!とかいろいろ叫びそうな展開ながら、御し切れない大きなものに振り回されてもつれていくキャラクターたちの様子は見ていてこれはこれで面白くもあり。面白いというか、突き刺さるという感じが近い気もしますけど。
バカな竜児や鈍感な北村、なんだかもう痛ましい大河に、見えすぎるが故か複雑な感情をぶつける亜美。そんな中でも個人的には、今までのまま全て変わらなければいいのにと願う実乃梨の気持ちにすごくシンパシーを感じます。だからこそ、「変わらないものなんてねーんだよ甘えるな!」と腹が立ったりもするわけですが。
そして人間関係はさらに大きな動きを見せて次の巻へと。こうなったら、次は竜児がどうにかしなければいけないんだろうなぁとか思いつつ、楽しみに待ちたいと思います。