TISTA 2巻 / 遠藤達哉

TISTA 2 (ジャンプコミックス)

TISTA 2 (ジャンプコミックス)

本当に、どうしてこんなに私の好みにストライクなのでしょうか。
2巻完結となったTISTA。長すぎる訳でもなく、語り足りないこともなく、物語としてはとてもきれいにまとまったかと思います。そして悪趣味だとは思うのですが、ティスタという少女の物語として、この作品が私は大好きです。
人間らしい感情と人殺しとしての使命の間で潰れそうになっていくティスタ。どうしてそこまで自分の全てを暗殺行為に賭けるのか、その理由が彼女の過去をさかのぼり見えてくる程、彼女の在り方は哀しいものとなります。それほどに過酷な十字架を背負い壊れそうな自分を、どうしようもなく存在する「罪悪」を滅することで保ってきた彼女が、気づいてしまったこと。それでも自らを縛り、心を封じ込めて銃を手にする姿。
もはや自罰的で、自傷的ですらあるその姿に、胃がキリキリするような痛みを味わいながら、自ら壊れていくというカタルシスを感じるのです。我ながら暗い楽しみだとは思いますが、やっぱりこういうのがどうしても好きだったり。
そんな中で、それでもその過去から繋がった一筋の光が、わずかでも希望を描ける、未来へと続いていく道を見せてくれたこと。希望と絶望が混在するクライマックスへの流れ、そしてたどりついた結末は、まさにそこしかないという感じで素晴らしかったです。行ったことは許されることはなく、何も変わらないかもしれなくて、それでもあんな顔を見せてくれるのなら、思わずもう大丈夫だと思ってしまうような。
話の展開や細かい部分で荒っぽさを感じるところもありましたが、切り裂かれるような感情に満ちていて、それが絵や演出から伝わってくる良い作品だったと思います。なにはともあれとても好みだっただけに、この作者の次回作にも期待大です。