ひぐらしのなく頃に解 第四話〜祭囃し編〜(上)/ 竜騎士07

ひぐらしのなく頃に解 第四話~祭囃し編~(上) (講談社BOX)

ひぐらしのなく頃に解 第四話~祭囃し編~(上) (講談社BOX)

理想の昭和58年6月を掴むために。
皆殺し編で姿を現した「黒幕」。雛見沢という地に取りつかれ、神を驕る姿は狂人としか思えなかった彼女の物語からスタートする最終話。
過酷な少女時代と、救ってくれた「祖父」。その研究を継ぎ、その偉業を示すことに命すらかける姿には、それなりの理由があって、そしてその意志は何よりも固く。それだけに、今までの惨劇を見てきた読者としては、分かるけれど認められないという思いがあります。
ただ、「東京」という秘密組織の説明は、物語上必要だとは思いつつもいまいち話から浮いているような気も。全体的にどうもバランスの悪さを感じるのはこの作品の特徴だと思うので、これはこれで味なのかもしれませんが。
そして始まるのはカケラを紡ぐ作業。この話がどういったものであるのかが語られるあたりで、なるほどと思ったり。「ゲーム」としてのひぐらしのなく頃には確かにここに成立しているんだなと感心。
カケラは雛見沢で起こってきたいくつもの事象の断片。それぞれに想いがあり、それぞれの行動があり、導かれていったこれまでの悲劇を、そして彼女の強固な意志を、このカケラを組み合わせてどうやって打ち破るのか。信じることをやめたら奇跡は起こらない、そしてそれは読者にも課せられた問題。
ならば、あとは最後まで読むしかありません。皆が幸せな、昭和58年6月を信じて。