人類は衰退しました 4巻 / 田中ロミオ

人類は衰退しました 4 (ガガガ文庫)

人類は衰退しました 4 (ガガガ文庫)

相変わらずゆるふわファンシー物語に真っ黒な毒をまぶしたような作品。
むしろ毒が中に入っているのかと思ったら、良く見たら毒で包まれていた、みたいなイメージの方が正しいのかも。
そんな感じの第4感は、割と深刻に食糧危機を迎えた旧人類に対して妖精さんのスーパー科学力の炸裂するチキンも走り出すようなお話と、人口過密には勝てなかった鬱入り妖精さんを連れて無人島でサバイバル木造建国なお話の二本立て。意味のわからない要約になりましたが、たぶんこれで正しいはず。そして読んでいる時には実にするするとこのストーリーが流れこんでくるあたりは、さすがだと思います。
斜め上の想像力に溢れて楽しいチキン工場のお話も良かったですが、個人的には無人島に妖精の国が建国される二つ目の話が好き。ひきこもりマインドを持つサバイバーという、これまた良く分からない称号をほしいままにする主人公の相変わらずなダメ人間思考と、無邪気なようで影のある妖精さんパワーでおかしな国が築かれてそして滅ぶ過程が大変愉快でした。こういう部分のセンスと発想力は、やっぱりこのシリーズの最大の魅力
ただ、さすがに同じようなタイプの話が続いていてマンネリ感が出てきたことも確か。とはいっても十二分に面白い作品なので、ここにきてどーんと大きな事件が起こるか、あるいは偉大なるマンネリに突入するのか、どちらにしても楽しみです。