創立!? 三ツ星生徒会 1巻 そのとき恋3がはじまった / 佐々原史緒

創立!? 三ツ星生徒会1 そのとき恋3がはじまった (ファミ通文庫)

創立!? 三ツ星生徒会1 そのとき恋3がはじまった (ファミ通文庫)

霊感体質な主人公向坂恵が、星ヶ谷の神様水穂(金魚)に命を救われてさぁ大変なドタバタラブコメディ。
たくさんの若者を集め平和に暮らすという水穂様の目的に適当に反した答えが謎パワーで実現し、ホシ女にホシ高という名門女子高と名門男子校、そして歴史の浅い共学校ホシ一が合併して、その生徒会が主導権争いで揉めたり意外と複雑な人間関係があったりという感じ。そしてその生徒会に一番力のないホシ一の生徒会長として入ることになってまた恵は苦労するのです。
個性豊かなキャラクターたちが賑やかにに騒いでいたり、意外な一面を見せたり、ちょっといい話があったり、ちょっとシリアスな話があったりとオーソドックスな部分に魅力が詰まった物語。
そんな中でも個人的には、変に俗世に染まって恵に駄神呼ばわりされながらも、我が道を行き思ったことはきっちり実現させてしまう水穂様の暴れっぷりと、それに振り回される不幸体質な恵のコンビが好き。恵は基本的にヘタレですが、なんだかんだでへこたれないし、決めるところはきっちり決めてくれるあたり好印象。そして自分の良いところまで全て人にかっさらわれている辺りがなんとも可哀想な感じなのですが、それもまた恵らしいかなと。
それから忘れちゃいけないのが早くも超複雑に入り組んできた恋愛模様。水穂様が時々恵の体に憑依して行動したりするのですが、この時性別が女の子になって、しかも恵の従妹の向坂水穂と名乗るものだから大変。TS要素に人格入替まで発生しているものだから、性別と人格の垣根を超えたり超えなかったりする混沌とした人間関係が生まれつつあります。この辺り、1巻ではまだ下地が整った段階なので、この先どう転がっていくのか非常に楽しみです。