supercellに夢を見る

supercellのアルバムが大激戦のオリコンウィークリーで4位、初動5万5千枚という数値を見て「さぁ来るよ! 時代変わるよ!」と大袈裟に騒いでいたくせにびっくりした私がいます。これはエポックメイキングだと思うのです。

supercell (初回生産限定盤)

supercell (初回生産限定盤)

アルバムとしてはCD向けにアレンジがされていて新鮮な感じに。曲的にはニコニコで人気の曲はもちろん、アルバム曲もポピュラリティの高い感じでさすがのクオリティでした。陳腐にならずに王道をいけるセンスが素敵。曲的には「嘘つきのパレード」が好きです。
ミクの声は慣れるまでは違和感バリバリだとは思われますが、何回か聞いてるうちにこういう楽器だと思うようになるので、食わず嫌いしている人も是非。


そして、初回特典のイラストブックのintroductionがとてもとても素敵だったので、ちょっと引用。

それは、恐ろしいスピードで、形を変えながら多くの人の心に響き、そのエネルギーはクリエイター達の創作意欲も刺激する。


中略


やってみようか? やってみようぜ! 作っちゃった……。まじで作ったのかよ! そんなことの繰り返しで、いろんなものを作ってしまった。


ぼくたちは楽しんでる、そして、夢を見てる。


作りたいものを思いっ切り作って、それを喜んでくれる人がいたら最高だなって、本当に喜んでもらえるだろうか? いつもちょっとだけ不安、でも、きっと楽しんでくれるよね? そんな気がしてる。


みんなにも楽しんで欲しい。そして、一緒に夢を見て欲しい。元気が出るように、盛り上がれるように、少し切なくなるように、いつも心を込めて作っているから。


その想いがきっと届くと、ぼくたちは信じている。


私は、インターネットの中からこういうものが出てきたということが凄いことだと思います。
ニコニコ動画という、動画と音楽を共有し、誰でも創作者になれて、しかも消費者と極めて近い距離感でやりとりできて、時と場所と時間を超えて、圧縮された流れが瞬く間に大きなうねりを作っていく空間があったこと。
今までだったら生まれなかったかもしれない作品が生まれ、誰にも届かなかったかもしれない作品が、それを通じて多くの人に知られたこと。それをたくさんの人の声が、想いが、より大きな現象に育てていったこと。
それが、音楽業界に確かなインパクトを与えるだけの出来事を起こしたということ。


誰かが何か素晴らしいものを創って、それを多くの人が簡単に受け止められる。
そこで生まれる何かが、さらにまた素晴らしいものを生んでいく。
作り手も、受け手も、みんなで、一つの夢を見れる。
私は、ネットがたくさんの人を「繋ぐ」ということは、とんでもなく大きな可能性を秘めていると信じています。人と人とが時と場所を超えて繋がって、何かを生み出していく。インターネットが可能にした、その化学反応が大好きです。
だから、それが、こうやって大輪の花を咲かせたことを、凄く嬉しく思うのです。


ここから素敵な夢が広がっていく。そんな予感がしています。