とある魔術の禁書目録 4巻 / 鎌池和馬・近木野中哉

自らを犠牲にしようというところまで追いつめられた少女の前に現れた一人の少年。
道理も打算も常識すら丸ごと無視して、自分が正しいと思うというそれだけの理由で、不可能すら真正面からぶち抜いて見せる救世主が現れたら、そりゃあ神様にも見えるだろうし、誰だって惚れるだろうと思った欠陥電気編クライマックス。
今まで個人的に、上条当麻というキャラクターは、人の迷惑を帰り見ない考えなしの暴走バカという印象であまり好きではなかったのですが、こうやって美琴の視点から見せられると、こいつはどこまでカッコいいヒーローなのかと驚きました。
圧倒的な力をふるって救うのではなく、バカみたいな理由だけで絶望的に不利な状況に突っ込んでいき、しかもそれをほとんど意志と根性だけで捩じ伏せて、それを自分のためにやったなんて言っちゃうんだから尚更。フィクションでしかあり得ないけれど、フィクションだからこその魅力を持ったキャラクターなんだなと納得。
そして美琴!
誰かを救おうとして、結果自らが招いてしまった状況に追い詰められて、それでも自分で何とかしようと背負い込む姿は、痛々しくて、それでも強かったと思います。だからこそ、そんな彼女の前に現れた当麻という存在が、どれほど彼女の世界を変えたのかと思うとグッとくるものがあるなと。イマイチ素直になれない可愛らしい姿も合わせて、私の中の美琴株が急上昇した一冊でした。