- 作者: 冬目景
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2009/04/30
- メディア: コミック
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これは傑作だと思います。
地味でもっさい感じで、でもどこか柔らかくて言動と行動に可愛らしさがあるももの魅力。そしてそんなおっとり少女が、ちょっと恋をしたり、失恋したり、悩んだりする様子が、暖かく見守るような視点で描いてあって読んでいて凄く幸せな気持ちになれる一冊。
どちらかというとドライな印象のある冬目作品の中では異色な感じで、全編通じて柔らかさと優しさに満ちています。絵柄も確かに冬目景の絵なのですが、何だか柔らかくて可愛らしい感じで、作者が70〜80年代少女マンガを目指して描いたというのも納得です。
基本的に描かれているのはももの日常で、その中で片想いをして、でも勇気を出せないその微妙な心理とか、一歩踏み出してでも踏み出しきれないもどかしさとか、そういう繊細な心理描写はさすがな感じ。
そして、ももを支える兄と姉の優しさや兄弟の結束、放浪癖のある父親ながらそれはそれで信頼で結ばれている家族関係といった、人々の優しさと繋がりを描いているのが凄く良かったです。
他にも、迷ってしまったももを探すために走り出す松本君とか、松本君に会いに走ってきたももを助けてくれた蓉子さんとか、ベタではありますが、そういうちょっとした優しさがじんとくるマンガでした。
本棚に大切に閉まっておいて、またいつかふと読み返したいような、そんな愛すべき作品だと思います。大好き。