Heartsnative / MOSAIC.WAV×鶴田加茂

Heartsnative (初回限定版)

Heartsnative (初回限定版)

人とコンピューターは、もう友達になれましたか?

2007年の8月、歌うシンセサイザーという未来の空気を纏って初音ミクが発売された時に、私が真っ先に思ったことは「ミクの歌う『電気の恋人』が聴きたい」でした。それから2年と少し、「みっくみくにしてあげる」の鶴田加茂とMOSAIC.WAVのコラボレーションという形で、その夢は遂に叶いました。
コンピュータと科学にとびきりの愛を込めて、これまで歩んできた道のりへの想いと、未来へのワクワク感を歌ったMOSAIC.WAVの科学ソングを、音楽とコンピュータ、そして人とコンピュータの関係を変えていく一つの象徴である初音ミクが歌う。これは、今この時代に、この人たちが、この形で創り上げたことに特別な意味がある作品だと思います。
とびきりキャッチーなメロディと電子音の洪水のような楽曲は、さすがという感じ。そしてみーこのと初音ミクのお互いが溶け合うような声の相性の良さが素晴らしかったです。そしてコンピュータと人間の微妙な距離感を描いた歌詞。こういう歌詞を、メロダロイドを使ったり、みーこが歌い方を少しづつ変えて、曲ごとにコンピュータと人間の距離感を変えながら歌っていくのが凄く良かったです。「server error」〜「キミは何テラバイト?」〜「HATSUNEtive」と流れて行くあたりは本当に素敵。
科学の発展が色々なものを塗り替えてきた世界の中で、過去から未来へと夢をつないでいく。このアルバムは、その流れの中で変わっていく人とコンピュータの関係のマイルストーンとなるような、傑作だと思います。これは是非、コンピュータに夢を見たことのある全ての人に聴いて欲しいなと、そんなことを思いました。