バカとテストと召喚獣 7巻 / 井上堅二

バカとテストと召喚獣7 (ファミ通文庫 い 3-1-9)

バカとテストと召喚獣7 (ファミ通文庫 い 3-1-9)

アニメの開始も目前に迫ったバカテス最新刊。
今回は体育祭を舞台に、持ち物検査で没収となった参考書(エロ本)の奪還をかけて、召喚獣野球大会にいつものF組面子が挑むという展開。かかっているもののアホらしさと、点数=召喚獣の能力的には他のクラスや先生たちには敵わないF組が手を尽くしてそこに挑んでいく熱さの取り合わせが、この作品らしくて面白かったです。それにしてもF組アホ男子たちのエロ本を取り戻すためというやる気はまだ良いとして、抱き枕(おそらく明久?)を没収されて困っている瑞希と美波には本当にもうどうしたら良いのかと。この巻ではチア服をあまりに自然に明久に押し付けてる瑞希の姿もあったりして、なんだか女子勢の残念っぷりが巻を追うごとにひどくなっていっているような。
まぁ、それもこれも相変わらずな鈍感さを発揮する明久に問題があるような気もします。二人のかなり積極的なアプローチにもわざとかと思うほど気付かないで、そのくせ思わせぶりなことをするから、瑞希や美波がどんどんおかしな方向に進んでいっている感じ。そしてこの巻では、翔子に対して勘違いからキレる雄二もあわせて、この作品の男キャラの鈍感具合が凄いことに。あまりの報われなさに負けるな女の子という気持ちになると同時に、雄二の勘違い逆ギレはさすがにそれはどうなんだという気が……。
極端な方向に進んでいっているのは他のキャラも同じで、もはや作中から性別が消失した感のある秀吉や、禍々しい何かに進化を遂げつつある美春も絶好調。この辺りの暴走加減は読んでいて面白くもあるのですが、あんまりやりすぎると作品のバランスが崩れてしまうではないかなという心不安も感じる所ではありました。でも、意外にボケた一面を見せてくれた高橋先生とか、教育者としての心意気を見せてくれた鉄人のキャラが掘り下げられていたのは良かったです。
そして今回のメインである野球大会は、リアル野球というよりもパワプロライクな感じに描かれていた感じ。ルール決めから始まって、点数を基準にしつつ配球とそれ以外の何かで駆け引きをしていく辺りも含めて、ゲーム的な印象がありました。そしてそのゲームの中で、どうやって強い敵に立ち向かっていくのかというのはシンプルに面白かったです。瑞希による大量虐殺の辺りは、もはや野球ではない何かになっていたような気がしてなりませんが!
そんな感じの第7巻でした。次は短編集ということですが、個人的にはそろそろ明久をめぐる恋模様の方の進展もお願いします!