ささみさん@がんばらない 2 / 日日日

ささみさん@がんばらない 2 (ガガガ文庫)

ささみさん@がんばらない 2 (ガガガ文庫)

『最高神のちから』を持つささみさんと日本の神々の繰り広げる馬鹿話、と思っていたらどんどんシリアスになっていった第2巻。
世界を管理する『月読の巫女』として育てられ、その身にアマテラスから移譲された『最高神のちから』を持つささみさん。前巻でひきこもりからようやく脱出し、普通の高校生になろうとする彼女ですが、そんな特殊な生い立ちと力を持っている以上やすやすと『普通』に生きられる訳はなく。
邪神三姉妹の次女かがみとささみさんの友情を描いた第2部での『普通の友達』になるためのかがみの努力、そして『月読の巫女』であることに責任と誇りを持っていたささみさんの母親が黄泉から彼女を連れ戻しに来る第3部と進むごとに、ささみさんが『普通』であることの構造的な無理はどんどん表面化していきます。人並みの友人関係を、人並みの親子関係を求めただけのはずのささみさんのぶつかる現実は非情で、それでも夢を見て、求めてしまうから、一人称で描かれる彼女の叫びは痛くて切なくて。でもそのささやかな幸せが、世界の安定と天秤にかかったときに、読者としてどちらが正しいなんて言えないことが、また苦しいものがありました。
それでも、そんな中だからこそ、普通じゃない、普通ではいられない二人の不器用な友情を描いた第2部が良かったです。お互い素直じゃないものだから些細なことでぶつかったり、賢いようでアホの子なささみさんの勘違いで上手くいかなかったりしながら、お互いのためを想っていられる関係が素敵でした。
ささみさんは、その生まれと立場の影響でもありますが、性格的にがんばりたくないと言いながら思わずがんばっちゃうようなタイプのキャラクターで、それが個人的にすごくシンパシーを感じるものがあるというのもこの作品の好きなところ。ダウナーで後ろ向きで読んでいて不安定になるけれど、でもどこか落ち着くような文章の心地よさも、多分合う人にたまらないものなんじゃないかなと思ったり。そして、友達のいない残念な感じのささみさん学校生活が、色々思い当たる節があったりなかったりして、読んでいて思わずうわぁとなる破壊力でした。
当たり前の幸せが欲しくって、がんばってがんばって折れてしまったささみさん。どうか彼女の望む『普通』の幸せを、誰か彼女に「頑張らなくても大丈夫」という言葉をと願いつつ、3巻も楽しみに待っていようと思います。