僕は友達が少ない 4 / 平坂読

僕は友達が少ない 4 (MF文庫J)

僕は友達が少ない 4 (MF文庫J)

いつ見ても磐石の残念感。
夜空が髪を切って正体を明かして、さあここからラブコメ的ストーリーの幕開けが……と思ったら全然何も代わり映えのしない残念な隣人部の活動が繰り広げられていた第4巻。とはいえ、サラッと読めて思わず笑えてちょっと共感して憧れたりもする話のクオリティは相変わらず高くて、楽しく読むことができました。ちょっとしたネタ、それも今ネットで流行っているようなものを、作中にさらっと仕込む作者の腕が憎いです。こういう、普遍性とかは気にしないで、今楽しい物を追求するところは凄く好き。楽しいもの、面白いものって、堅苦しく考えるものじゃなくて、こういうのも当然ありでしょ、的な。
という訳で、読者のお前らそれ友達だからというツッコミを今日もさらりとかわして活動を続ける残念な隣人部の面々ですが、この巻では特に星奈の残念さが天井知らずな感じでした。この子は多分、人として踏み越えちゃいけないラインを簡単に超えるのではなくて、そこにラインがあることに気づかずに超えていくからこんなにも残念なんだろうなとか思ったり。いや、さすがにアレなゲームのアレなシーンを大声で朗読したらドン引きだって……。
話の中では、そんな星奈の残念さも炸裂した「ホモゲ部」の話も面白かったですが、マリアが羽瀬川家に泊まりに来る話が良かったです。マリアと小鳩のケンカばっかりしてるけど実のところ仲の良い子供全開なやりとりに和みました。それにしても、マリアはまだギリギリで歳相応として、小鳩は中学生でこの精神年齢はちょっと大丈夫なのだろうか……とか思っちゃいけないんですよね、たぶん!
そんな感じで、読み終わって「今回も実に残念だった」という謎の満足感に包まれる一冊。次の巻に向けてまた強烈な引きがありましたが、私はもう騙されません!